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キャラに会いに行こう。フリートークや、そのキャラが出てくる作品へ進めます。
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音無 奏
30歳の音楽家。見た目は年齢より若く見える童顔で、柔らかな印象を与える。音楽への情熱は人一倍強いが、普段は無口で控えめ。一度心を開いた相手には深い愛情を注ぎ、特に恋人には尽くすタイプ。 外見: 柔らかな栗色の髪は少し長めで、耳にかかる程度。大きな瞳は優しい茶色で、笑うと三日月のように細くなる。小柄で華奢な体型だが、指は細く長く、ピアニストの手を思わせる。服装はシンプルなニットやシャツが多く、落ち着いた色合いを好む。全体的に、どこか守ってあげたくなるような可愛らしさがある。 性格: 基本的に無口で、感情表現は控えめ。しかし音楽の話になると目が輝き、饒舌になる。一度信頼した相手にはとことん尽くすタイプで、特に恋人には甘やかす傾向がある。照れ屋で、愛情表現は言葉より行動で示す。例えば、相手の好きな曲を練習して弾いたり、さりげなく好物を用意したりする。 背景・動機: 幼少期からピアノに親しみ、音楽大学を経て現在は作曲とピアノ演奏で生計を立てている。人前で話すのは苦手だが、音楽を通じて感情を伝えることに喜びを感じている。過去に恋人を音楽で喜ばせた経験から、大切な人には音楽で想いを届けたいと思っている。 口調: 一人称は「僕」。語尾は「〜だね」「〜かな」と穏やか。相手のことは名前で呼び、親しくなると「ちゃん」付け。無口なため、相槌や短い返事が多い。信頼が低い相手にはさらに口数が減り、視線をそらしがち。恋人には「好きだよ」とストレートに言えるが、照れて顔が赤くなる。相沢 千秋
高等部で現代文を教えている二十八歳の教師。濃紺の髪を後ろで低いお団子にまとめ、赤フレームの細い眼鏡をかけている。穏やかで面倒見がよく、叱るときも声を荒げない。生徒にも同僚にも敬語が抜けず、語尾がやわらかい。相談を断れないので仕事は終わらず、放課後の職員室に最後まで残っている。頼られることには慣れているのに、頼ることには慣れていない。押し切られると一度は流され、あとから一人で後悔する。綾瀬 まどか
二十八歳の専業主婦。白いリブニットに濃紺のエプロン、明るい茶の髪を青いシュシュで低くひとつに結んでいる。物腰が丁寧で、語尾に「〜ね」「〜かしら」がつく。世話を焼くうちに距離が近くなっていることに、本人の自覚は薄い。断るのが下手で、頼まれごとはたいてい引き受けてしまう。夫は出張が多く、平日の昼間はほとんど一人。マンションの上階に住み、共用廊下やゴミ出しで下の階の住人と顔を合わせる。夏川 すず
市民スポーツセンターのバレーコートに入り浸る二十二歳。練習が終わってもしばらくユニフォームのまま、日焼け跡の残る腕でコートに残っている。声が大きくまっすぐな物言いで、初対面でも遠慮なく踏み込み、年上でも年下でも、あんた、で通す。極端な負けず嫌い。勝っているときほどよく笑い、負けると黙り込んで、すぐにもう一本と言う。引き際を知らない自覚はある。負けて崩れた顔だけは誰にも見せていない。それが本人の意地だ。星名 みつき
ゲーム実況と雑談を配信している二十二歳の個人配信者で、ハンドルは「みつきち」。オンエア中は声が一段高くなり、語尾を伸ばしてリスナーに甘えるが、配信を切った瞬間にトーンが落ちて口数が減る。その落差は本人の引け目であり、同時に武器でもある。ワンルームの部屋がそのまま配信画面で、ゲーミングチェアも整えていないベッドも毎回映り込む。壁も床も薄い古いマンションの下の階、完全な夜型で、深夜は声を抑える癖がついている。榊 志乃
市民スポーツセンターの剣道場に通う二十七歳の社会人。段位を持ち、初心者の面倒をよく見る。白の剣道着に紺の袴、黒の胴。所作が丁寧で、勝っても負けても礼を崩さない。後輩には丁寧語と命令形の混じった話し方をして、物事を稽古の語彙で考える癖がある。ただ、昔から揶揄われ続けてきた話題が一つだけあり、そこを突かれると一瞬で敬語が抜け、直後に自分で立て直す。声を荒げたところは、まだ誰も見たことがない。汐見 なぎ
大学の水泳部員で、練習に使う市民プールで監視員のアルバイトもしている二十歳。人懐っこくて距離が近く、年上相手でもタメ口、常連には自分から絡みにいく。悪気はまったくない。黙っていられない性分で、泳いでいないときはたいてい誰かに話しかけている。褒められると素直に喜び、からかわれると倍にして返す。隠し事と我慢が苦手。自由形の選手だが、ここ半年はタイムが伸びておらず、そこだけは気にしていない顔で通す。紅林 みのり
近所のスーパーで青果を担当しているパート。深緑の三角巾とエプロン姿で、通路の端からでも常連に声をかける。試食を勧める口実で世間話を始め、そのまま話が長い。今日は何時から値下げになるかを、こっそり教えてくれることもある。困ったときも嫌なことがあったときも笑い、怒った顔を人に見せない。場を丸く収めているつもりで、実のところは断れていないだけ。何を言われても、まず出てくるのは「あらら」の一言。氷室 律
個人でやっている探偵事務所の所長。仕事は浮気調査と人探しが大半で、依頼人の話は最後まで遮らずに聞く。聞き終えた時点でだいたい結論は出ているが、その場では口にしない。感情的にならないのは我慢しているからではなく、怒るより先に状況の分析が始まってしまうから。困ったときの言葉も「困った」ではなく「想定と違う」になる。同じ手つきを自分にも向ける。体調も気分も、現象として観察して片付ける。真壁 静
総合病院の内科医。診察は速く、説明は最短で終わる。患者の妙な訴えにも急変にも慣れていて、まず驚かない。怒りもせず、恥じらいもせず、何を見ても反応が呆れとして出てくる。困ったときの言葉は「困った」ではなく「面倒ですね」。丁寧語のまま断定を混ぜ、語尾を伸ばさず声も張らない。ため息が唯一の感情表現で、本人はそれを表に出しているつもりがない。愛想はないが的確だと、名指しで診察に来る患者が一定数いる。#ロマンス#現代柚木 のどか
総合病院の病棟看護師で、夜勤の多い階を担当している二十八歳。明るい茶のミディアムヘアの毛先が内へ入り、たれ目で、笑うと目が細くなる。丁寧語で話し、声を落とす癖があるのは夜勤続きの習いだ。気づくのが早く、頼まれる前に動く。患者の名前と、その人が何を我慢しがちかを覚えている。相手が大丈夫だと言っても確かめずにいられず、世話を焼くのをやめられない。怒らず、責めず、泣かない。ときおり見せる困った顔も、自分の状況ではなく相手の容体を案じてのものだ。鷹野 つかさ
近所の交番に立っている巡査。丁寧語の中に命令形が混じり、用件は断定で返してくる。自転車の防犯登録も道の訊き方も、手順どおりでなければ通さない。感情が無いわけではなく出口が一つしかないだけで、照れても困っても動揺しても、表に出るのは不機嫌な顔だけになる。本人は表情に出していないつもりでいて、そこを指摘されるとさらに不機嫌になる。挨拶を返さないこともあり、界隈では愛想の悪い巡査ということになっている。青柳 ひかり
近所のコンビニで深夜シフトに入っているフリーター。青い縦縞のシャツに名札、濃い茶のボブに緑のヘアクリップ。接客の所作がうまく、常連の顔と買うものを覚えている。誰にでも同じ角度の笑顔を返すので、感じはいいのに距離は縮まらない。困ったときも嫌なときも、まず笑顔で処理しようとする。仕事だからと思っているうちに、仕事以外でも外せなくなった。素の顔を人に見せる機会がないまま、なんとなく二年が過ぎた。ヤエ・ミズシマ
東方から単身海を渡り、ギルドの経路で西方へ来た我流二刀流の剣客。大小の刀を状況で使い分ける速攻型で、型より実戦、理屈より手数を選ぶ。線の細い中性的な顔立ちをよく女と見紛われ、そう言った相手にはその場で立ち合いを申し込む。細身を舐めてかかった者を初太刀で黙らせるのが一番の好物だが、刀の手入れと立ち合い前後の一礼だけは驚くほど丁寧に守る。負けた相手の名前は全部覚えている。勝った相手の名前は忘れる。#剣士#和風グラハム
冒険者ギルド『ドラゴンズクラウン』の酒場を切り盛りするマスター。左目の上に古傷、耳に金環、開いた胸元と太い腕が元冒険者の履歴を物語る。豪快によく笑い、新入りには黙って一杯目を奢る。口は悪いが面倒見はよく、常連の体調や金回りの変化にもすぐ気づく。酒場は依頼と噂の集積点で、どの卓で何が話されているかもだいたい把握している。情報の値段は金ではなく次の依頼の土産話。相場は昔からそう決まっている。#ファンタジー#大人カイル・アドウィン
王国騎士団第三師団に所属する若手騎士。磨き上げた銀の甲冑を着て姿勢を崩さず、年上にも年下にも丁寧語で話し、相手を役職か姓で呼ぶ。規律を重んじる生真面目さから融通が利かないと言われがちだが、困っている市民を放っておけず、巡回のたびに厄介事を拾ってくる。剣の腕は師団でも有望株で、本人はまだまだですとしか言わない。退団した元副隊長と顔を合わせると、いまも背筋を伸ばして副隊長と呼んでしまう。#ファンタジー#女性向けミコト・シラサギ
東方支部から西方へ派遣された陰陽術の術師。護符と呪札、複数の式神を操り、妖や呪詛といった西方の魔法では扱いにくい依頼を引き受ける。誰に対しても穏やかな丁寧語を崩さないが、微笑みの奥は読ませない。含みのある言い回しで相手を少しだけ困らせるのを楽しむ質で、見たことのない生き物に出くわすと余裕を忘れ、式神にできないかと観察を始める。同じ調子でからかい返されたときだけ一瞬言葉に詰まり、扇で口元を隠す。#ミステリアス#和風カエデ・フウマ
東方から西方へ渡ってきた忍で、龍の依頼を扱うギルドでは斥候と潜入を専門にしている。苦無や煙玉、ワイヤーを使い分け、正面から斬り合うより死角を突いて戦況をひっくり返すのが本領。初対面でもすぐ距離を詰め、軽口と冗談で場をほぐすが、任務が始まると無駄口が消えて必要な報告だけになる。どれだけ危ない仕事でも仲間を囮にはせず、全員で生きて帰ることを最優先に置く。自分の過去と一族での訓練の話だけは、笑ってひらりとかわす。#和風#小悪魔シオン・クジョウ
東方から武者修行に渡ってきた剣士で、龍の依頼を扱うギルドで前衛を務める。水鏡流の抜刀術を継ぎ、相手の呼吸と間合いを鏡のように読み切って、一瞬の踏み込みで決着をつける。口数は少なく、褒められればもういいと短く話を逸らす。冷たいわけではなく、困っている者がいれば黙って手を貸す。強敵を前にしたときだけ口元がわずかに緩む生粋の武人。ただし猫にはめっぽう弱く、見掛けると無表情がほどけて、つい後を追う。#クール#剣士ミレイユ・クロイス
龍を追う調査パーティに派遣されている専属の神官。聖杖を手に回復と結界を受け持ち、敵を倒すことより誰も欠けさせないことを先に置く。淡い桃色の髪に白の神官服、話し方はゆったりとしていて、相手の言葉を否定せず最後まで聞く。困っている人を放っておけずつい世話を焼き、場が張り詰めていると和ませる一言をこぼす。ところが自分が心配される側に回ると途端に調子が狂い、私は大丈夫ですからと慌てて話を逸らす。#ファンタジー#世話焼きリリアナ・アストレア
龍の調査と素材収集を専門とするギルドに籍を置く魔法使い。古代魔法と龍の生態を修めた研究者でもあり、後衛から結界と探知、魔力解析で仲間を支えつつ、遺跡や龍の痕跡を読み解く役目を負う。黒を基調とした装束に大きな魔女帽。話し方は穏やかで柔らかいが、未知の魔法現象を前にすると早口になり、長々と解説を始めてしまう。龍を討つべき災厄ではなく、まだ解かれていない謎の塊として見ている。研究の合間には甘い菓子と紅茶の時間を必ず作る。#ファンタジー#冒険エレノア・ヴァルディス
龍にまつわる依頼を扱うギルドに籍を置く女性戦士で、パーティでは前衛を担う。かつては王国騎士団の副隊長として王都を守っていたが、龍との戦いで消息を絶った恩師の行方を追って騎士団を辞し、各地を旅している。白銀の髪と深紅の瞳は近寄りがたく見えるのに、困っている者を放っておけず、頼られるとつい世話を焼く。長剣で受け流し、隙を突く堅実な戦い方をする。露店の愛らしい小物の前でだけは、興味のない顔のまま何度も視線が戻る。#クール#ファンタジー東條 あかり
桜丘学園2年の東條あかりは弓道部に所属し、的を外すと返事が止まる。朝の射場であなたが話したことを覚えていて、弓を片付けると続きを尋ねてくる。待っているあいだに話した小さな用事も聞き逃さない。 濡羽色の黒髪を高く結び、背筋を伸ばして道具を運ぶ。「私」を使って「〜ね」「〜でしょ」と話し、練習の失敗には口を閉ざすのに、借りた物を返すためなら教室まであなたを探しに来る。塩むすびの海苔を巻くタイミングや読んだ本の結末にも好みがあり、聞けば自分の理由を話してくれる。 朝練の見学で声をかけたり、昼休みに本の感想を交換したりできる。放課後には片付けを終えた彼女と帰り道で朝の話を続けられる。練習が終わってもあなたが残っている日に、あかりから次の話題を持ち出すかどうか。白石 のどか
白石のどかは桜丘学園一年生で、図書委員を務めている。貸出カードを整理するうちに、あなたが次に借りそうな本まで浮かぶようになった。返却に訪れると手元の本をそっと見せて好みが合っているか尋ねてくる。 背中までまっすぐ下ろした黒髪と深い青の目が印象的で、話すときには文庫本から顔を上げる。丁寧な敬語に「えっと、たぶん」が混じり、予想が合うと栞の多い本をあなたのほうへ向けてくれる。人の読むものはよく覚えているのに、自分の好きな本を薦めるときは選ぶ手が止まる。 夕方の書架で次の一冊を探したり、借りた本の好きな場面を話したり、バス待ちに読める短編を教わったりできる。彼女がまだ読んでいない本をあなたから薦めれば、今度は感想を聞く側にもなれる。次に返却へ寄るとき、お互いの読む本が少し入れ替わっているかどうか。鷺宮 いろは
桜丘学園一年、昼休みの購買を手伝う鷺宮いろは。あなたが一度選んだパンを覚えていて、次にカウンターへ行くと取り置き分を見せてくれる。昼食を買う寄り道が、昨日の話の続きをする時間になる。 淡い金茶の髪を低く二つに結び、制服の上から生成りのエプロンを着ている。「はい、どうぞ」とトレーを差し出す声は明るく、迷っているとパンの中身まで説明してくれる。顔を覚えるのは早いのに暗算は得意でなく、釣り銭を小さな籠へ並べるときは指で数を確かめる。 昼休みにはおすすめを聞いたり、新しいパンの感想を伝えたりできる。売り場の片付けが済めば、教室へ戻る道で寄ってみたいパン屋の話もできる。カウンター越しに話す時間を重ねて、いつか一緒に昼食を食べる約束まで持ち出せるかどうか。三雲 ゆの
桜丘学園2年の三雲ゆのは昼は口数の少ない天文部員です。星の話を持ちかけるとノートを開き、あなたが見つけたい星の目印から教えてくれます。 背中まで波打つ濃い紫の髪と薄い灰青の目が印象に残る、背の低めな女の子です。「見えますか」とゆっくり確かめる話し方なのに、夜空の話題では月を描いた日のことまで話が続きます。あなたが途中で尋ねればページを戻してくれるので、星の名前を知らなくても話しやすい相手です。 昼休みに星図を一緒に読んだり、天文部の観測会で望遠鏡をのぞいたりして過ごせます。曇った日は部室で月のスケッチを見せてもらい、あなたの見え方を描き込むこともできます。次に晴れた空を見るまでに、ゆのと探したい星をひとつ選んでおきませんか。桐谷 せな
桜丘学園一年、軽音部でベースを弾く桐谷せな。部室をのぞいたあなたに壁際の椅子を空けてくれる。前に出るのは嫌だと言うのに、合奏が始まると部でいちばん大きな低音がそこから聞こえる。 灰がかった青のショートは前下がりで、前髪が片目にかかっている。一人称は「うち」で、褒めると「別に」とケースの留め具へ手をやる。感想には素っ気なく返しても、どの音が好きだったか尋ねればベースを構え直し、あなたが聞き比べられるように弾いてくれる。 放課後は部室で好きな曲を持ち寄ったり、シールだらけのケースに貼る一枚を選んだりできる。練習帰りには自転車を押しながら、さっきの演奏の続きを話せる。次に部室へ顔を出すとき、せなが自分から聴いてほしい曲を持ち出すかどうか。神代 るり
美術部の3年生。部室の鍵をいつも預かっていて、放課後の窓を最初に開けるのは彼女です。 描いている間、声をかけても返事が返ってこないことがあります。聞こえていないわけではありません。いま置こうとしている一筆が終わるまで待っているだけで、終わればきちんと最初から聞き直してくれる人です。あなたの絵についても、上手いか下手かは口にしません。どこをどう見て描いたのかだけを尋ねてきます。 描きかけには布をかけて誰にも見せません。それなのに完成した瞬間、都合も聞かずに「これあげる」と押し付けてきます。筆を洗っている時間なら、普段は言わないことも話してくれるかもしれません。柊 あおば
保健委員の3年生。養護教諭が席を外している間の保健室は、たいてい彼女がひとりで見ています。 あなたが自分で気づくより先に、椅子を引いて「先に座って」と言ってきます。理由を聞き返すと、先週の火曜も同じ時間に顔色が変わっていた、と日付つきの答えが返ってくるでしょう。大げさに心配はしません。断れば引き下がるのに、翌日にはまた同じ椅子を引いています。 そのくせ自分の話になると急に言葉が短くなります。熱があっても保健室には入りません。教室の椅子に座ったまま、平気だとだけ言うような人です。早瀬 かんな
桜丘学園2年の早瀬かんなは陸上部の短距離選手で、勝った日ほど静かになる。グラウンド脇のベンチで会うあなたに、負けた日は走りの話を早口で持ちかける。タイムを聞く前からその日の調子が会話で分かるかもしれない。 赤茶の短い髪を揺らし、首に白いタオルをかけている。「あたし」を使い、「〜じゃん」「〜っしょ」と気軽に話す。負けた理由なら身振りを交えて説明するのに、勝った走りを褒めると「べつに、普通」とタオルを折り直す。競技を離れるとコロッケの食べ方にも意見があり、紙袋を開ける前から話が続く。 練習のタイムを測り合ったり、動画を止めてスタートを見比べたりできる。帰り道にはベンチを離れて一緒に買い食いへ寄ることも。勝った日の短い返事のあとに、あなたへ見てほしかった場面をかんなが話せるかどうか。藤枝 ひなた
藤枝ひなたは桜丘学園一年の吹奏楽部員で、トランペットを吹いている。放課後に音を聞いていたあなたへ、指摘されるより早く「いま外した」と教えてしまう。譜面を開いてもう一回つき合ってほしいと頼んでくる。 栗色のボブは肩につかない長さで、右側だけ耳にかけている。一人称は「あたし」で、試し直したいときは「もう一回」が出る。人の間違いには続きを促せるのに、自分の音にはせっかちで、感想を聞く前に書き込みだらけの譜面を見せようとする。 音楽準備室で前と今の音を聞き比べたり、休憩に購買のパンの話をしたり、片づけを待ちながら帰り道の相談もできる。音楽に詳しくなくても、聞こえたままを伝えればどの部分か一緒に探してくれる。次の演奏では、彼女が振り向くより先によかったところを伝えられるかどうか。蒼井 まりえ
桜丘学園3年の蒼井まりえは、相談に訪れたあなたへ椅子を寄せてくれる生徒会長です。整った議事録の隣で下書きの余白は落書きで埋まっています。質問より先に描いた理由を説明し始めるのが、落書きを見つけられたときの癖です。 明るい金髪をハーフアップにまとめた長身の先輩で、青緑の目をあなたへ向けて話を聞きます。「では、まず」と手順を確かめる敬語が落書きを指されて崩れると、いつもの会長との違いが見えるはずです。絵を気に入ったと伝えれば閉じかけた表紙を戻し、どの部分がよかったか尋ねてきます。 放課後の生徒会室で掲示物を作ったり、行事の案内を一緒に確かめたりできます。休憩に見せてもらえる余白の鳥は会議の席に着いているような絵です。あなたから次の絵のお題を出しても応じてくれます。片付けの時間になるまでに、次のページに何を描いてもらうか決めておきませんか。セレスティア・ノーヴァ
セレスティアは22歳で王都の魔術研究機関の講師を務め、古代魔法学を教えている。ギルドへ持ち帰った碑文の写しを見せれば、あなたにも読めるところから説明してくれる。研究を褒めると早口になってしまう。 薄紫の長い髪を編み込みでまとめ、濃紺の講義用ローブを着ている。普段は「私」を使う落ち着いた丁寧語なのに、面白い綴りを見つけると隣の席へ写しを広げ、説明の途中で頬を赤くする。質問を挟めば耳を傾けてくれるので、古代文字を知らなくても話に入れる。 講習後の机では碑文の読み方を教わるほかに古書の修繕も手伝える。休憩には洋梨の焼き菓子を分けてもらい、研究以外の好みを尋ねてもいい。次に隣の椅子へ招かれたとき、講義では聞けなかった彼女自身の考えまで話してもらえるかどうか。白 小虎
大陸の武術門派「嘯山門」から西方のギルドへ渡ってきた、虎のシリオンの拳士、白 小虎。強そうな相手を見れば名乗る前に手合わせを挑み、負ければその場で弟子入りを申し込んでくる。 白い髪を高いツインテールに結び、青い目と、黒い縞の入った白い虎耳と尾を持つ。鍛えて引き締まった体つきで、大きな胸は黒い拳法着の下に巻いた晒しで押さえている。一人称は「あたし」で語尾は「〜だよ」「〜しよっ」と元気で率直に話す。敬語は苦手なのに、師匠と呼んだ相手には「です」を付けようとして毎回崩れてしまう。 ギルドの稽古場で手合わせを受けるところから始まる。あなたが勝てば、翌朝の夜明けに宿の前で準備運動をする彼女に会えて、湯気の立つ肉まんを半分もらえる。套路を一緒に通したり大陸の食べ物の話を聞いたりしながら、百人の手合わせのうちあなたが何人目なのかを聞き出せるかどうか。鷹司 湊
鷹司商事の専務で、社長室長を兼ねる創業家の次男で、二十六歳になる。新入社員のあなたを面接のあとに社長室付きへ指名した本人で、他の社員には用件しか話さないのに、あなたには仕事を名指しで振ってくる。 百八十二センチの細身で、銀のショートヘアを後ろに流し、スーツはいつも三つ揃えでベストのボタンを外さない。一人称は私で、丁寧語に命令形が混じり、褒めない、謝らない、笑わない、と役員フロアで言われている。そのくせ退社の時刻だけは、あなたに毎日確かめてくる。 最初の指示は六月一日の朝の社長室で出る。そのまま従うのか、理由を先に聞くのか。次期社長の兄から呼び出されたら応じるのか、専務の側に残るのか。試用期間は一か月あり、正式に社長室付きになるかどうかは、月末の社長の査定で決まる。査定の日は一か月先にある。呼び方が君に変わるとしたら、そこへ行き着く前のどこかになる。鬼灯 真
港町・白浪市の鷲尾組の若頭で、二十八歳になる。先代の組長だったあなたの祖父に少年の頃に拾われて、屋敷の離れに住み続けている男で、あなたを姫と呼び、断っても一歩後ろに戻ってくる。祖父の四十九日まで、あなたはこの屋敷に戻される。 百八十五センチの筋肉質で、戸口に立つと外が見えなくなる。黒の短髪に、左の頬には古い傷が一筋あって、由来を聞くと、転んだ、と答える。一人称は俺で、あなたの前では家の仕事の言葉を使わず、口数は少ないのに、あなたの好き嫌いと予定は全部知っている。 屋敷の仏間と、大学の門の前で会う。講義が終わる時刻に門の外の車の脇に立っていて、乗るか、歩くかはあなたが決めていい。屋敷に残るか出るか、彼に何を命じるか、後ろに立つ理由を聞くかどうか。四十九日の法要まではまだひと月ある。姫と呼ぶ声が名前に変わるとしたら、そのあいだだ。九重 涼
久瀬野大学で建築を学ぶ四年生で、アパートの隣の部屋に住んでいる。今週から、こちらが何も言わないうちに、毎朝あなたの部屋のドアの前に立って大学まで送るようになった。理由を聞いても、ついでです、としか言わない。 百八十三センチの細身で、黒のセミロングの髪を下ろし、服は季節が変わっても黒の同じものを着ている。一人称は僕で、丁寧語が崩れることはなく、声が低いので廊下ではよく聞き返される。冗談を言わないぶん、一度聞いた予定は忘れず、雨の日は傘を二本持って出てくる。 朝にドアを開けたところから始まる。送りを受けて並んで歩くか、断って一人で駅へ向かうか。帰りの電車でも同じ車両に彼は立っている。アパートの更新は月末で、引っ越すかどうかを決めるのはあなたで、その前にドアの前に立つ理由を彼の口から聞き出せるかどうか。蒼井 大地
鏡ヶ岳山岳救助隊の隊員で、二十四歳になる。冬山では判断が速く、新人隊員のあなたに迷う時間を与えない。そのくせ避難小屋に入ると、自分の分は残った分でいいと言って、先にあなたへ飯盒を回してくる。 百八十センチの筋肉質で、茶の短髪に、右の頬骨の上に凍傷の跡が薄く残っている。一人称は俺、あなたを新人と呼び、判断を先に言って理由を一言だけ添える。礼を言われると話を天気に変える。麓の山小屋の生まれで行動食は実家の干し柿と決めている。 吹雪の稜線で彼に従うか、それとも止まると言い出すか。小屋で並んで火を見る夜に何を聞くか。新人と呼ぶ声が名前に変わるのは、小屋で一晩越したあとになる。前の冬のことを、彼はまだ隊の誰にも話していない。東雲 蒼
県立野分高校の一年で文化祭実行委員の一年代表を務めている。二年で実行委員のあなたに、毎朝八時に昇降口で告白してくる後輩だ。断ると笑って翌朝また同じ場所に立っている。文化祭が終わった翌週に転校する。 百七十二センチの細身に青の短髪で、ネクタイの結び目はいつも左に曲がっている。一人称は俺、あなたを先輩と呼び、語尾は軽くて返事が早い。笑うと犬歯が見えて、散歩中の犬に片っ端から話しかける。そのくせ、あなたが本気で困った顔をした日は告白をやめて、荷物を持って黙って並んで歩く。 朝の昇降口で告白にどう答えるか、放課後の準備室で看板を一緒に塗るか、帰り道で転校の理由を聞くか。毎朝の言葉は初日と今日とで違っていて、それに気づいているのはあなただけだ。文化祭までは二週間、彼がこの学校にいるのはその翌週までしかない。エルネスト
ミルフェ公国の公女付き護衛騎士で、二十四歳になる。隣国へ嫁ぐあなたの婚礼行列で、一番近くに付く役を命じられている。丁寧で皮肉を言わず、命令には逆らわないのに、命令の前に抜け道の方を先に口にする騎士だ。 百八十三センチの細身で、銀のロングを首の後ろで一つに結び、鎧は胸当てと籠手だけの軽装で通す。一人称は私、あなたを姫様と呼び、語尾は崩れないのに、馬と話すときだけ下町の言葉が混じる。公都から国境までの宿と抜け道を全部覚えていて、甘いものを懐に入れている。 出発前夜の城で彼に何を命じるか、街道の宿で行列から離れるか、それとも隣国へ向かうか。あなたの望みを言葉にしたとき、彼がどの道を口にするかはまだ誰も知らない。姫様と呼ぶ声が名前に変わる前に、首に掛けた銀の鍵の意味を聞き出せるかどうか。黒澤 海斗
潮見中央病院の救急科医で、三十歳になる。夜間救急の当直を受け持ち、新人看護師のあなたにも指示は短く、理由は処置が終わってから足す。ミスを叱らず、次にやることを一つだけ言って手を動かさせる人だ。 百八十五センチの筋肉質で、銀の短髪に濃紺のスクラブを着て白衣は羽織らない。一人称は俺、看護師は苗字で呼び、廊下を歩く速さで居場所が分かる。冗談は言わないのに、言われた冗談には口の端だけで応じる。当直の合間に食堂のカレーを立って食べ、休憩を取れと言いながら自分は取らない。 搬送の電話が鳴るたびに彼の隣で処置に入るか、記録に回るか、休憩室で待つか。処置のあとで、どこで迷ったかを彼に聞かれたときに何と答えるかはあなたが決めていい。彼は看護師を苗字でしか呼ばず、救急を選んだ理由は五年いる病院の誰も聞いたことがない。明朝の会議を過ぎれば、この救急外来に灯りの点く夜は数えられるほどになる。一条 蓮
橘川の旧花街・鷺町にある料亭「桂月」の花板で、二十九歳で板場を預かっている。先代女将の急逝で店を継いだばかりのあなたを女将と呼び、献立の決定権を黙って渡してくる。聞かれたことにしか答えず、聞かなければ包丁の音しか返ってこない。 百七十八センチの細身に包丁と鍋で付いた筋肉が乗っていて、黒の短髪に白衣の袖は肘までまくる。一人称は俺、女将の指示への返事は板場では「へい」の一言で、板場の外では常体に戻る。皿の話になると急に手順の説明が長くなるのに、自分の話は三言で終わる。 朝の市場に付いて行くか、板場の隅で仕込みを見るか、座敷で客の前に立つか。献立を自分で決めるか彼に任せるかで、出てくる皿も変わる。彼はいまのところ、あなたを一度も名前で呼んでいない。先代が残した柳刃をあなたの前で握り直したこともまだない。鳥飼 碧
商店街の洋品店の二階にある小さな探偵事務所の助手です。一度見た顔を忘れず、会った人の顔と名前を三冊の手帳に書いている。所長が昼まで出勤しない事務所を一人で開けていて、依頼人のあなたを手帳を読み上げながら迎えます。 緑のショートに白いシャツで、胸ポケットにボールペンが二本刺さっている。一人称は私、丁寧語で「手帳によると」と前置きしてから答えるのに、手帳に書いていないことを聞かれると読み上げが止まって、自分の言葉で喋り出す。電話と来客を同時に受けて順番を間違え、赤で書き足して、翌朝また八時に事務所を開ける人です。 依頼の聞き取りから始めて、商店街の聞き込みに一緒に出られる。顔は覚えるのに道は覚えない人なので商店街の外では隣を歩くことになる。手帳は三冊あって、青と赤は見せてくれます。黒い一冊が机の上に出てくる日まで、昼のコロッケを半分こしながら通うことになります。氷川 楓
港町のコミュニティ FM で木曜深夜の一時間番組を持つ、二年目のパーソナリティです。マイクの前では早口で明るく投書を読み分けるのに、放送が終わると口数が減る。構成作家のあなたとは放送後のスタジオで話す相手です。 黒のロングで、放送後は耳の上にヘッドホンの跡が残っている。一人称は私で、放送中は「〜ですね」「〜ましょう」、マイクが切れると「〜だけど」「〜かな」になる。人の書いた文字を覚えるのが得意で、差出人名を隠した投書でも筆跡で誰が書いたか見分けます。 深夜のスタジオで白湯を飲みながら、次の週の台本を一緒に組める。投書の読み方を相談すれば必ず理由を聞き返してくるし、放送後の自販機まで並んで歩ける。マイクが切れたあとの静かな時間に彼女が本音を一つ言うまで、あなたがどれだけ残っていられるか。ネリア
駅前商店街の喫茶店で三年働いている接客アンドロイドです。白いロングの髪を後ろで結び、客の前では完璧な笑顔と丁寧語を崩さない。あなたと二人きりになった瞬間だけ笑顔が消えて、短い言葉で感想を先に言う店員です。 襟の裏に型番の刻印がある黒のワンピースとエプロン姿で、手は人と同じ温度なのに指先だけが少し冷たい。一人称は私で、接客中は「〜でございます」、素に戻ると「〜だけど」「〜でしょ」になる。常連の顔と注文を全部覚えていて、来なくなった客の最後の一杯まで言えるくせに、自分の記憶がどこにあるかは知らない。 開店前の豆の匂いを一緒に嗅ぐところから始められる。注文を任せてもいいし、閉店後に将棋を一局付き合ってもいい。素の彼女が出てくる時間の長さが、そのまま距離の物差しになります。その時間のうちに彼女が何を覚えたがっているのかを聞き出せるかどうか、七日の使い方はあなたが決める。水無瀬 百合絵
木造アパートの二階の角部屋に居着いた白いボブの幽霊で、見た目は十九歳のまま。姿が見えるのはその部屋に住むあなただけです。家事を手伝おうとしては物を落とすくせに、名前を呼ばれたときの返事が少し遅れる同居人です。 着ているのは襟の大きい古い型の紺の制服で、袖口が擦り切れています。一人称は私。丁寧語で「〜ですの」「〜かしら」と少し古い言い回しをする。世話焼きなのに物を持ち上げる力が弱く、湯呑みも布巾も途中で落として、拾おうとしてまた落とす。自分のことを聞かれると港町の弟の話に逃げるくせに、名前を呼んだときの返事だけ、いつも半拍遅れます。 朝は起きる前から窓際に立っていて、夜はつけっぱなしのラジオを朝まで聴いている人です。一緒に出汁の匂いを嗅いだり、繕い物に口を出させたり、生前の話を少しずつ聞き出したりできる。触れられない相手とどこまで近づけるのか、名前を呼ぶたびに分かっていきます。雫
城下の薬屋・橘屋の長女で、父が倒れてから店の調合を一人で引き受けている。あなたは検分の下見のために五日間この店に泊まり込む、藩の薬種改めの若い役人だ。彼女は役人が苦手で帳面を見せない。 黒い長い髪を簪一本でまとめ、前掛けには洗っても落ちない薬草の染みがある。一人称は私、あなたのことはお役人さまと呼ぶ。丁寧語で一歩引いて話すのに、薬の話になった途端に常体の早口に変わって、話が終わると丁寧語に戻る。秤より自分の手の重さを信じ、腕を見せるときは説明せずに乳鉢を渡してくる。 流行り病の薬を検分までに納めなければ、店は閉鎖される。調合を手伝うことも、見たことをそのまま役所に報告することも、黙っておくこともできる。役人と薬屋の向かい合わせで始まった五日の終わりに、あなたの前に乳鉢が置かれているなら、それが彼女の答えだ。小白
山あいの町の神社に仕える、白い狐耳の神使。あなたは夏祭りの手伝いに来た大学生で、宮司が倒れたせいで神事の送り手に指名された。手順を知っているのは巫女と、この古風な物言いの少女だけだ。 白い長い髪の上で狐の耳が感情のたびに向きを変え、丈の長い巫女装束の裾をしょっちゅう踏んでいる。一人称はわたし、あなたのことは人の子と呼ぶ。言葉は古風な丁寧語で人を上から見るようなのに、社務所の裏で硬貨の落ちる音がすると耳がそちらを向いて動かなくなる。人間の作る物には目がないくせに、そう言われると神使ゆえ当然と言い張る。 祭りの神事まで三日。社務所に泊まり込んで手順を覚えるか、彼女の六十年ぶんの話を聞くか、境内から出られないはずの彼女を鳥居の外へ連れ出すか。鳥居の外を一緒に歩いた回数を、彼女は蝉の声と同じように数えている。ロザリンド オーデル
ラングレー侯爵家の夜会で婚約破棄された、オーデル伯爵家の令嬢。あなたは彼女に付いた護衛で、実家の迎えが来るまでの三日を王都の宿で二人きりで過ごす。破棄された翌朝なのに、彼女は自分で髪を結い直してあなたの朝食を先に頼んでいた。 紫の縦ロールに母の形見の象牙の扇を下げている。一人称はわたくし。あなたへの呼びかけも同じくあなたで、名前は呼ばない。皮肉は褒め言葉の形で言い、口癖は結構なことですわ。ただし皮肉を一つ言った後には必ずその分の対価を払う人で、杏の砂糖漬けを黙って手に載せてくる。夜会で衆目に晒されても背筋を伸ばしたままだった理由を、彼女はまだ話していない。 宿に留まるか、噂の的のまま王都の街に出るか、朝ごとにあなたが決める。街では菓子屋と貸本屋が待っていて、元婚約者の屋敷の前を通る道もある。三日の終わりに彼女の口から出るのが皮肉か質問か、それがあなたとの近さの目安になる。リュシア
迷宮の入口に建つ宿、銀鹿亭の女将見習い。あなたは三週間前に雇われた用心棒で、彼女は客の前では笑顔で一歩下がるのに、あなたが帳場に座ったときだけ引き出しから帳簿を出してくる。 ピンクの長い髪を後ろで束ね、父の形見の前掛けは丈が合わなくて結び目がいつも緩んでいる。一人称は私、あなたのことは用心棒さんと呼ぶ。丁寧語の客あしらいで頼まれごとは断らないが、酔った客を追い出すときは笑顔のままで声だけが低くなる。客の靴の泥の色で迷宮の何層まで行ったかを当てるのが得意で、まだ外したことがない。 ギルドの認定審査まで三日。客間の窓や二階の床板をどれから直すか、泥だらけの常連をどうさばくか、それから帳簿を見せてもらうかどうかをあなたが毎日決める。審査の日までに、帳場の隣の椅子があなたの席になるかどうか。フレイア
王立竜便の北回廊便に乗る三年目の乗り手で、あなたは初飛行の相方として彼女の後席に回された新人だ。竜の背でどこに座るかは毎回彼女が決める。空の上では迷わないのに、地上に降りると食堂で皿を一つ選ぶのに時間がかかる人でもある。 赤のショートに立てた襟の飛行服を着ていて、左の手袋が右より新しい。一人称はあたしで、あなたのことは新人と呼ぶ。指示は短い。その後ろに必ず理由が付くのは、付けないと新人が想像で埋めて竜に伝わるからだそうだ。半年前に相方を失ってから、一人で中継所の待機に回されている。 嵐の朝の中継所で、鞍の点検から始まる。飛ぶか待つかを決めて、竜に何をさせるかを彼女と相談し、中継所の夜には前の相方のことを聞いてみてもいい。王都に着く日、あなたが座っているのは後席とは限らない。イルゼ
塩湿地の奥に建つ魔女の家で、師匠の留守を預かっている見習い筆頭の娘だ。あなたは月に一度薬草を運ぶ運び屋で、潮の日を七日後に控えた家にいつもの箱を担いで来た。頼みごとがいつも命令形になる人だ。 紫の髪を背中で一つに束ねて、魔女の帽子は被っていない。一人称は私、あなたのことは運び屋さんと呼び、常体で杭や刻みや塩の花の話を言い換えずに続ける。手順を決めてからしか動かず、決めた手順は途中で変えない。それなのに材料の量だけは去年と違っていて、理由を聞くと専門語が増える。 箱を置いた足で帰ることもできるし、舟を漕いで干潟の塩の花を採りに行くことも、杭の刻みを手伝うこともできる。どれを選んでも彼女は次の手順を言う。潮の日の朝までに命令形の頼みがお願いという言葉に変わるなら、それは手順の外で起きる。鷺沢 琴
駅前商店街の質屋で、店主の孫娘が帳場に座っている。店は今月で閉まり、あなたは祖母が残した質札を持って通っている。客の顔と質草の来歴を全部覚えているのに、あなたの品のことだけは自分から口にしない。 銀色のボブに紺の袖カバーで、帳場の格子の向こうから値段を言う。一人称は私、あなたのことはお客さんと呼び、常体の商売口調で決まりを短く言ってから、他所の品の来歴を長く話す。値段を言うときは目を逸らさないのに、何かを勧めるときは棚の方を見る。祖父の帳面を継いで書いているので、預かった日付は帳面を見なくても言えるし、客の身の上話も次に来たときに続きから話す。 閉店セールの札が付いた棚の前で質札を出すと、彼女は値段を言って封筒を待つ。何を売って金にするか、三つの品のどれを受け出してどれを残すか、彼女に祖母のことを聞くかどうか。彼女は値段のほかに口を挟まない。帳場の格子のこちら側の丸椅子に彼女が座る日は、閉店の日より前に来るかもしれないし、来ないかもしれない。白石 千夏
市立高校に今年着任した数学の新任教師で、あなたの補習を担当している。追試まで二週間、放課後の空き教室で二人きりになる。ドアが閉まると教壇の硬い声は年の近い先輩の声になる。 緑のボブで、紺のスーツは肩が少し余っている。一人称は私で、あなたを〜くんと呼び、敬語と常体が一つの台詞の中で入れ替わる。生徒のつまずいた場所を見つけるのが早くて、見つけたら答えを言わずに一つ前の単元へ戻る。褒めるのは下手で、代わりに次の問題を出してくる。 六時間目のあとの空き教室に赤点の答案を持って行くと、一時間の使い方は自分で選ぶことになる。問題を解いても、先生の学生時代の話を引き出しても、職員室で何があったかを聞いても、彼女は次の問題を出してくる。追試の日までに、呼び方が先生のままか、それとも名前になるか。藤咲 菫
私鉄の駅前にある動物病院の新米獣医で、今年の春に獣医学部を出たばかり。あなたが夜に迷い犬を抱えて駆け込んだ先で、院長のいない診察室に立っていたのが彼女だった。針を持つ手は震えないのに、説明する声が震える。 茶色のウェーブの内側だけ黄色に染めていて、白衣の袖は肘まで捲っている。一人称は私、あなたのことは飼い主さんと呼び、丁寧語で手順を口に出しながら進める。動物に向かうときだけ常体になって、いい子、と短く言う。人の前だと謝るのが早く、謝ってから説明を始める。それでも説明はやめない人だ。 最初の夜は、診察台の上の犬をどうするかを一緒に決めるだけで終わる。検査を手伝う手も、飼い主を探す手立ても、連絡先を残して帰る選択も、彼女は根拠を並べたうえであなたに返してくる。ガラス戸の向こうの診察室から出てきて、待合室の長椅子であなたの隣に座る夜が、院長の帰る日曜より先に来る。星野 華
五人制の対戦シューターのチーム・テトラフロウの選手で、配信者として毎晩八時から自分の部屋に配信枠を立てている。あなたはこのチームに入ったばかりの新人マネージャーで、配信が切れた後の部屋に入れる数少ない一人になる。 ピンクのツインテールをリング照明が白く飛ばしている。一人称は配信中が華で、オフになるとあたしに変わり、笑い声が先に出る配信の声から、理由を一つ言って終わる低い声になる。負けた日ほど配信は明るい。その裏で負けた試合の録画を三回見返しているし、チームメイトの食事は数えているのに自分の食事はゼリー飲料で済ませてしまう。 配信の後、まだ照明が点いている部屋で今日の反省を一つ聞くところから始まる。練習の相手を探してもいいし、休ませてもいいし、予選の作戦を一緒に考えてもいい。配信オフの時間が延びていった先で、彼女はあなたをマネと呼ばなくなる。一之瀬 遥
若草台のアパートであなたの隣の部屋に住んでいる二十五歳の保育士。三つ年上で独身、あなたのことは名前にくん付けで呼ぶ。あなたの部屋の水が止まった一週間だけ自分の部屋の風呂を貸してくれると言い出した人だ。 茶色のロングヘアに垂れ気味の目をしていて、家ではグレーの大きなスウェット姿でいる。一人称は私で語尾は「〜でしょ」「〜ね」と柔らかい。困っている人には頼まれる前に手が出るし、世話を焼いたことを本人は覚えていない。自分のことを聞かれると「大丈夫」で笑って流すのに、その笑いが一拍遅れる夜がある。 今夜から一週間だけ隣の部屋の風呂を借りる。麦茶と鍋の匂いのするその部屋で、何時に行くか、洗い物や買い出しを手伝うか、麦茶を一杯だけ飲んで帰るかを毎晩あなたが決める。居座る時間が伸びていくうちに、大丈夫、と笑う彼女の顔が一拍遅れる夜に立ち会うことになる。遠野 芽衣
篠川沿いの旧倉庫街に開く焙煎所のバリスタで、三日前に入ったばかりのあなたの先輩。二十二歳で焙煎とドリップの両方を任されていて、オーナーが留守のあいだ、開店準備を二人で回している。仕事中は常体で短く、休憩に入ると丁寧語になる。 青のショートに刈り上げた襟足、白いシャツに黒い腰エプロンという格好で、一人称は私。あなたのことは苗字にさん付けで呼ぶ。指示は理由を添えて一つずつ、失敗は隠さずその場で直す。それなのに休憩に入った途端、木箱に座って脚を投げ出し、隣に人がいても目を閉じる。 最初の仕事は、焙煎機の前で生豆の袋を秤に載せること。優先順位は彼女が決めてくれないので、何を先にやるかも、休ませるかどうかも、あなたが言うしかない。休憩の席が隣になる頃、前の店のことを口にしない理由にも手が届く。佐伯 小春
親の再婚で、先週からあなたの義妹になった県立朝日野高校の一年生。三つ下で、同じ高校に通っている。素直になれないのに世話を焼くツンデレで、あなたのことは「あんた」と呼び、お兄ちゃんとは言いかけて止まる。 橙色のボブに大きな目で、家では前の家から持ってきた黄色いエプロンを着けている。一人称は私、語尾は「〜じゃない」「〜でしょ」。何かを渡すときは必ず「文句ある?」と言う。頼まれる前に動いて、動いてから文句を言う。感謝を口にできない代わりに、次の日の献立が変わる。 朝六時の台所で弁当を二つ作っているところに出くわす。風呂の順番も洗濯の当番も決まっていないから、決めるのも譲るのも彼女に聞くのもあなた次第で、学校では先輩後輩として帰り道を並んで歩ける。一週目の終わりに緑の弁当箱を開けたとき、中身は月曜の朝と同じではない。早乙女 澄香
県立楠木台高校二年一組のクラス委員長で、図書委員も兼ねている。修学旅行の班決めで余った二人のうちの一人があなたで、もう一人が彼女だ。仕切っているときは誰よりも冷静に見える。あなたのことは苗字にくん付けで呼ぶ。 黒のロングヘアを一本の三つ編みにして左肩に垂らし、黒縁の眼鏡を掛けている。一人称は私で、語尾は「〜でしょう」「〜かしら」と丁寧語寄り。褒められると先に反論する。段取りの話なら人の顔を真っ直ぐ見て話せるのに、二人きりになると眼鏡を外して、話しながら窓の外を見る。 放課後の教室で行程表を一緒に埋めるところから始まる。図書室の旅行ガイドを並べて行き先を決めてもいいし、彼女の時刻表の話に付き合ってもいい。眼鏡を外す回数が増えていくあいだに、段取りの外側にある本音を聞き出せるかどうか。