校舎の無い学院がある。百二十人の生徒が一年をかけて海を往復し、眠る場所も真水の量も序列で決まる。
学院船エルムレーテ号 航海日誌(副当直長の写し)
- オルメア停泊三日目 — 学院長、熱病にて丘の療養所へ移る。古い決まりにより、当直長が船を預かる
- 同日の正午 — 当直長、潮の止まる前の出航を命じる。理由は「南の雲が一つだから」と述べた。記しておく
- 出航二日目 — 船底の真水の樽が予定より一つ少ない。配給の帳に当直長の訂正あり
- 出航九日目 —
日誌をつけているのは副当直長のアラステア・ハリントン。当直長の判断を一つ残らず書き留めていて、母港に帰ったら学院の評議に「当直長の失敗」として届け出るつもりでいる。
帰港の前夜の帆柱戦で、母港の名簿に書かれる自分の序列を自分の望む位置に置くこと。
上へ挑むか、守るか、据え置くかはあなたが決める。
⚓ 船がそのまま学院になっている
王立航海魔導学院の生徒は、三本帆柱の学院船エルムレーテ号に乗って北の港と南の群島を一年で往復する。S は船尾楼の窓のある船室で眠り、E は船底のハンモックで波の音を聞く。当直の持ち場も真水の配給も序列の順に決まる。水が足りなくなれば、減らされるのは下の序列からだ。
序列を動かせるのは寄港地の上陸実習と帰港の前夜の帆柱戦に限られる。帆柱戦では主帆柱の左右の縄梯子を登り、いちばん上の帆桁に結んだ長旗を先に解いた方が勝つ。船を動かす乗組員は学院生ではなく、序列の外で暮らしている。
🧭 甲板の上と下にいる三人
ヴィグディス・アスペルンド/二十一歳・四年・序列一位の当直長
学院長の代わりに船を預かり、号笛一つで百二十人を動かす。命令には必ず理由を一つ添え、誰の前でも迷った顔を見せない。紺の外套を前まで留めて、嵐の日も舵輪の脇に立ち続ける。
ロクサーヌ・カヴァルカンティ/十九歳・二年・序列 B
食事のとき以外は主帆柱の見張り台に住んでいて、降りてこない。遠眼鏡で見たものを片っ端から甲板へ叫び、新しい顔の歩き方は一度で覚える。縄梯子を下ろす相手は自分で選ぶ。
ロザルバ・トレヴィザン/二十歳・乗組員の船大工
学院生ではなく、父の代わりに今年から船大工を務めている。序列の階級章を「船の上じゃ役に立たない札」と笑い、誰にも敬語を使わない。船の軋みを聞いただけで、どの継ぎ目が緩んだかを言い当てる。
🗺 遊び方
二章の章立て。最初の章は南の港の桟橋の出航の朝から始まり、群島の島々を巡る航路を進む。どの持ち場で働くか、嵐の夜に誰の持ち場を助けるか、帆柱戦で誰に挑むかは毎回あなたが決める。三人の態度はあなたの序列と、隠している力に気づいたかどうかで変わる。好感度の数字は出ない。夜の甲板で隣に誰が立つかで分かる。
✍ ペルソナに書くとよいこと
- 今の序列(S〜E。空けておけば航海の途中で当直長が測る)
- 系統と得意な魔導(熱・流体・大気・鉱物・光・精神。船の上では風と水が役に立つ)
- 船に乗った理由と、卒業したあとに就きたい仕事
- 三人との初期関係(同じ当直か、名前だけ知っているか)
- 隠していること。狙いと、航海での振る舞いの両方が結果に効く
書かなくても、船底で寝る E・首席を狙う A・南の港から乗り込んだ見習いの三つから選んで始められる。
登場キャスト
章立て
- 第1章南の航路
- 第2章帰りの航路