TRPG の作り方

物語を、卓を囲む TRPG のセッションのように遊べる形で作る手引きです。判定・状態・場面の移り変わりはサーバーが確定し、語り手は描写に専念します。このページでは仕組み、作る順番、装置ごとの使いどころ、設計の型までを、実例の「王都地下遺構調査録」の第 1 章を使って説明します。

仕組みを 5 分で

章とフェーズ

章はセッション 1 回分です。1 回の冒険や 1 日の出来事を 1 章にまとめます。フェーズは章の中の場面(ビート)です。「合流」「回廊を進む」「襲撃」のように、目標が変わるところで区切ります。

卓の TRPGこの物語作成画面の場所
セッション章「章」
シーン・ビートフェーズ「章 > 詳細設定(任意・作り込みたい方向け) > フェーズ(この章の進行)」
キャラクターシート状態の項目「遊び方 > ルールと判定 > 状態の項目」
技能とダイス技能・ダイス判定「遊び方 > ルールと判定 > ダイス判定」
マップ場所と接続「遊び方 > マップ」

語り手とサーバーの分担

語り手(AI)が書くのは、場面の描写とキャストの台詞です。出目・成否・体力などの値・クロック・次の場面への移り変わりは、サーバーが決めて語り手に渡します。

この分担のおかげで、体力の数字や残り行動が会話の途中でずれません。判定の結果も、語り手の気分ではなく出目どおりに描かれます。作者は「何が起きたら次へ行くか」を設定に書くだけで、展開を確実に動かせます。

遊ぶ人の 1 手で裏で起きること

遊ぶ人が行動を 1 つ送ると、サーバーは次の順で処理します。

  1. 残り行動が 1 減る: 行動上限のある章だけです。
  2. クロックが進む: 「行動ごと」の規則を持つクロックが目盛りを進めます。
  3. レフェリーが判定を決める: 遊び方の型が「TRPG(レフェリー)」なら、判定が要るか・どの技能か・どの難しさかを決め、要るときは先に振ります。成功で手がかりが開き、判定で進むクロックも進みます。
  4. 遭遇表を引く: 判定の無かった手番で、引く時期に当たっていれば遭遇表の抽選をします。
  5. 遷移を確かめる: 判定の結果やクロックの満タンで遷移が成り立てば、次のフェーズへ進みます。入ったフェーズの入りの指示・状態の上書き・場所がここで効きます。
  6. 語り手が描く: ここまでに確定した結果を受け取って、場面を書きます。
  7. 状態に反映する: 語り手の本文から「体力が 5 減った」「革袋を拾った」のような変化をサーバーが拾い、範囲を確かめてから値に反映します。閾値の注記、「状態がこうなったら」の遷移、AI が判定する遷移もここで確かめます。
💡 語り手は、状態欄をサーバーの値どおりに書き写すだけです。値を動かす手段は、判定・クロック・状態の上書き・本文からの反映の 4 つにまとまっています。

遊び方の型

「遊び方 > ルールと判定 > 遊び方の型」で 3 つから選びます。選ぶと、下のダイス判定の設定がその遊び方に合わせてそろいます。遊ぶ人の操作は型ごとに次のように変わります。

会話で進める

  • 遊ぶ人の操作: 書くだけです。判定はありません。
  • 中で決まる設定: ダイス判定が OFF になります。
  • 向いている物語: 会話や人間関係が主役の物語です。状態の項目・フェーズ・クロックはこの型でも使えます。

語り手が判定を求める

  • 遊ぶ人の操作: 書いたあと、語り手が判定を求めたら、出てくるカードで振ります。「技能を使う」から自分で振ることもできます。
  • 中で決まる設定: ダイス ON・判定モードは「成功/失敗判定あり」・使用タイミングは「AI が自動で判断(既定)」です。
  • 向いている物語: 山場でだけダイスの緊張感を出したい物語です。

TRPG(レフェリー)

  • 遊ぶ人の操作: 書くだけです。判定が必要ならサーバーが自動で振ります。「技能を使う」で狙って振ると、結果に合わせた行動の候補から選べます。
  • 中で決まる設定: ダイス ON・判定あり・使用タイミングは「レフェリーに任せる」・難易度の型は「3 段階と修正」です。
  • 向いている物語: 探索・戦闘・謎解きを、技能・状態・クロックで本格的に遊ばせたい物語です。このページの説明はこの型を前提にしています。
💡 判定を使う 2 つの型は、技能が 1 つ以上あると選べます。技能が無いときは、よく使う技能が 4 つ入るので、そこから物語に合わせて直せます。

作る順番

フェーズの欄は、技能・状態の項目・場所を選択肢として参照します。作成画面のステップもこの順に並んでいて、「遊び方」ステップで土台を作ってから「章」ステップへ進むと、フェーズを作るときにすべてが一覧から選べます。各工程で決めるのは 1 行で足ります。

  1. 遊び方の型(「遊び方 > ルールと判定 > 遊び方の型」)
    決めること: 判定をサーバーに任せるか、語り手に求めさせるか。
  2. 状態の項目(「遊び方 > ルールと判定 > 状態の項目」)
    決めること: 場面をまたいで覚えておきたい値。例: 体力・所持品・魔石の数。
  3. 技能(「遊び方 > ルールと判定 > ダイス判定」)
    決めること: 成否が分かれると面白い行動。例: 観察・探索・戦闘・回避・開錠。
  4. 難易度(ダイス判定の「難易度の型」と「遊ぶ人が選ぶ難易度」)
    決めること: どんな状況で判定が易しく・難しくなるか。例: 瀕死なら探索が 1 段むずかしい。
  5. マップ(「遊び方 > マップ」)
    決めること: どこからどこへ行けるか。例: ギルド → 一階層 → 野営地。
  6. 章(「章」)
    決めること: 1 回のセッションで何を達成するかと、行動上限。例: 一階層の奥の鉄扉まで・30 行動。
  7. フェーズ(「章 > 詳細設定(任意・作り込みたい方向け) > フェーズ(この章の進行)」)
    決めること: どのフェーズを通り、何が起きたら次へ行くか。例: 回廊 → 探索の進展が満タンで広間へ。
  8. ハンドアウトと進行指示(ハンドアウトは「章 > この章のルール」、進行指示は章の詳細設定)
    決めること: 遊ぶ人だけが知る秘密と、語り手に毎ターン守らせること。
💡 はじめは章 1 つ・フェーズ 3〜5 個・技能 4〜5 個で十分です。試しに遊んで、平板に感じたフェーズへクロックや手がかりを足すと、手応えのある章に育ちます。

サンプルから始める

「遊び方 > サンプルから始める」で、運営が用意した TRPG のサンプルを選ぶと、その遊び方の設定を自分の物語へ写せます。サンプルの章とフェーズから始めると、自分の物語に合わせて書き換えるだけで遊べる形になります。

写す範囲入るもの
ルールと判定状態の項目・技能とダイスの設定・遊ぶ人が選ぶ難易度・進行ルール
マップ場所と接続・移動を接続先に限る設定
章とフェーズ章の導入文・ハンドアウト・進行指示・行動上限と、フェーズの内容・手がかり・クロック・遷移
  • 選んだ範囲の今の設定は、サンプルの内容に置き換わります。章とフェーズを写すと、今の章とその章で遊んだ会話は消えます。
  • キャストごとの立場と章に登場するキャストは写りません。自分の物語のキャストを決めてから設定します。
  • 技能・状態の項目・場所を指す欄は、ルールと判定・マップを一緒に写したときに残ります。3 つまとめて写すと、サンプルの仕組みがそのまま動きます。
💡 写した後は、導入文・ハンドアウト・フェーズの内容を自分の物語の言葉に書き換えます。技能やクロックの数字はそのまま試遊して、手応えを見てから整えると早く仕上がります。

装置ごとの使いどころ

実例はすべて「王都地下遺構調査録」の第 1 章からです。第 1 章は「合流 → 石の回廊 → 襲撃/水没した広間 → 封じられた鉄扉/撤退」と進みます。

YAML で書き出す・取り込む

「遊び方 > YAML で書き出す・取り込む」で、遊び方・マップ・章とフェーズを YAML のファイルにまとめて書き出せます。手元に控えを取っておく、文章を書く道具で一気に手直しする、別の物語へ持ち込む、といった使い方ができます。

取り込むときは、YAML を貼るかファイルを選び、「中身を確かめる」を押します。章・フェーズ・状態の項目などの数と、取り込むときに外すもの(この物語にいないキャストの構え、無い画像など)が出ます。写す範囲を選んで「取り込む」を押すと、保存のときと同じ確認を通ったものだけが入ります。キャストと画像は名前で書かれているので、同じ名前のキャストがいる物語なら、構えや関係値の修正もそのまま結び直されます。

💡 形式の詳しい書き方は、YAML を書き出して中を見るのがいちばんの近道です。サンプルの物語を写してから書き出すと、すべての欄の実例がそろった YAML が手に入ります。

状態の項目と閾値

「遊び方 > ルールと判定 > 状態の項目」で、サーバーが持つ値を決めます。型は「数値」「段階」「はい・いいえ」「文章」「リスト」の 5 つです。「誰が変える」を「語り手の描写から」にすると本文から変化を拾い、「サーバーだけ」にすると章やフェーズの「状態の上書き」でだけ変わります。

「説明(任意)」には、何を記録する欄かを書きます。サーバーが本文から変化を拾うときの判断材料になるので、書いておくと記録の漏れが減ります。

所持品のようなリストには「遊ぶ人の持ち物を記録する欄」の印を付けられます。付けると、本文から足すのは、その手番の終わりに遊ぶ人の手元に残った物だけになります。キャストが構えている武器や、借りてすぐ返した物は入らないので、状態タブの持ち物が本文と食い違いません。数値には「語りから 1 ターンに動かせる幅」も付けられ、物音のように 1 段ずつ上がってほしい値が跳ねずに動きます。

数値には閾値を置けます。値を越えたときに「語り手への注記」が渡り、「効果」で「描写だけ」「章を締める」「ロスト(プレイ終了)」を選べます。

項目設定起きること
体力(数値・0〜100・初期値 100)50 を下回ったら・描写だけ傷が重なって動きが鈍る描写になる
25 を下回ったら・描写だけ瀕死の描写と、仲間が庇う流れになる
0 を下回ったら・ロスト(プレイ終了)プレイが結末「ロスト」で閉じる
所持品(リスト・上限 12 件)説明: 拾った物・採った素材・預かった物拾った物が本文から一覧へ入る
魔石(数値・単位 個)説明: 採取した魔石の数採取の描写で数が増える

キャストの状態と関係値

状態の項目の「キャストごとの状態を持つ」をオンにすると、キャスト 1 人ずつに関係値・絆・気分をサーバーが持ちます。関係値は段ごとに「各段の表示語」を付けられ、遊ぶ人の「人物相関」タブと語り手にはその語で渡ります。

実例では関係値を −3〜3 にして、「敵意・不信・警戒・中立・好意・信頼・献身」と名付けています。絆の語は「戦友・疑念・恩義」です。関係値は技能の修正の条件にも使えるので、仲間との信頼が深まるほど連携の技能が通りやすくなります。

技能

「遊び方 > ルールと判定 > ダイス判定」で技能を作ります。種別は「判定(基準値で成否を決める)」と「抽選(出目表で結果を決める)」の 2 つです。技能は 16 個まで作れます。

技能の「説明」は、レフェリーが振ったときに 🎲 の行の下へ「何が懸かっているか」として出ます。「罠・待ち伏せ・魔物の弱点を見抜く」のように、成功で得られるものを書くと、遊ぶ人が判定の意味をすぐ掴めます。

技能成功基準値使いどころ
観察65罠・待ち伏せ・弱点を見抜く
探索60魔石・素材・隠し通路を見つける
戦闘55パーティ全体で攻める
回避50攻撃や落盤をかわす
開錠40古い錠前や封じられた扉を開く
リナの一撃50キャストに任せる大技(回数制限 5)

キャストの名前を付けた技能を作ると、遊ぶ人が「誰に任せるか」を選ぶ遊びになります。

3 段階の難易度と状態による修正

ダイス判定の「難易度の型」を「3 段階と修正」にすると、判定は普通(技能値そのまま)・難しい(半分)・至難(1/5)の 3 段階になります。レフェリーは行動の無茶さに合わせて段階を選びます。再挑戦などの難しい行動は「難しい」になります。

技能ごとの「状態による修正」で、状況に応じて段階を動かせます。対象は「状態の項目」か「キャストの関係値」で、合計は 2 段までです。「理由(🎲 の行に出る)」に書いた語が、判定の行にそのまま出ます。

技能修正理由
探索・回避体力が 25 以下のとき 1 段むずかしく瀕死
戦闘体力が 50 以下のとき 1 段むずかしく傷が重い
レンの支援レンの関係値が 1 以上のとき 1 段やさしくレンの信頼

「普通」より易しい段はありません。「やさしく」の修正は、「難しい」や「至難」になった判定を 1 段戻す形で効きます。修正は「3 段階と修正」のときに効きます。

回数制限と回復

技能の「回数制限」は、1 回のプレイで使える回数です。強い技能に付けると、使いどころを考える遊びになります。実例ではリナの一撃が 5 回、アヤメの居合が 3 回です。遊ぶ人の「技能を使う」には残りの回数が出ます。

章やフェーズの「状態の上書き」にある「技能の回数を戻す」で、入った時点に回数を上限まで戻せます。野営の章で「すべての技能」を戻すと、奥の手を取り戻すひと息の場面になります。

判定の結果で状態を動かす

技能の「結果で状態を動かす」に、判定の結果ごとに動かす状態の項目を書きます。判定のたびにサーバーが状態を動かし、🎲 の行に「体力 -1・物音 +1」と出ます。遊ぶ人が文で行動を書き、レフェリーが判定を入れたときも、選ばれた技能の効果がそのまま効きます。

判定の結果動かす項目(「戦う」の例)
決定的成功物音 -1
失敗体力 -1・物音 +1
致命的失敗体力 -1・物音 +1

決定的成功は成功の効果も、致命的失敗は失敗の効果も重ねて受けます。上の設定なら、致命的失敗で体力 -2・物音 +2 になります。動かし方は項目の型で決まり、数値は増減、段階は段の上げ下げ、はい/いいえは値、リストは語句を足す・消すです。数値は項目の範囲で、段階は端で止まります。体力の閾値に「ロスト」を付けておくと、失敗が重なった先をそのまま結末まで運べます。

フェーズの「装置とキャスト」にある「判定の追加の効果」には、そのフェーズだけの効果を書けます。技能の効果に重ねて効くので、罠の部屋で観察に失敗すると体力が減る、追われる場面で走るのに失敗すると体力が減る、のようにフェーズならではの手応えを足せます。効く技能を選ばなければ、どの技能の判定にも効きます。

語り手には動いた分が伝わり、それに合う描写をします。語り手の本文から状態を読み取る処理は、判定で動いた分を重ねて数えません。

遊ぶ人が選ぶ難易度

「遊び方 > ルールと判定 > 遊ぶ人が選ぶ難易度」で「遊ぶ人に難易度を選ばせる」をオンにすると、遊ぶ人が開始時に段を選べます。段ごとに「行動上限の倍率」と「判定の補正」を決めます。

名前行動上限の倍率判定の補正行動上限 30 の章では
やさしい150%1 段やさしく45 行動
ふつう(最初から選ばれている)100%補正なし30 行動
むずかしい70%1 段むずかしく21 行動

行動上限の倍率は行動上限のある章で効き、判定の補正は難易度の型が「3 段階と修正」のときに効きます。

クロック

クロックは、行動を重ねるほど溜まっていくゲージです。フェーズの「装置とキャスト」で 4 本まで置けます。「種類」の進展・危険は表示の色の違いで、仕組みは同じです。

「進む規則」のきっかけは「行動ごと」「判定に成功したら」「判定に失敗したら」「大成功したら」「大失敗したら」「目標に近づいたと判断されたら」「場所へ移動したら」から選びます。「目標に近づいたと判断されたら」は、レフェリーが行動を見て判断します。

いちばん効くのは、危険と進展の 2 本を競わせる型です。進展が先に満ちれば先へ進み、危険が先に満ちれば窮地に陥ります。1 手ごとに「急ぐか、慎重にいくか」の手応えが生まれます。

石の回廊のクロック目盛り進む規則満タンで
探索の進展(進展)3観察・探索の判定に成功したら 1/目標に近づいたと判断されたら 1水没した広間へ
魔物の気配(危険)43 行動ごとに 1/どの技能でも判定に失敗したら 1襲撃へ

満タンで何が起きるかは、遷移の「クロックが満タンになったら」に書きます。「満タンの注記」は、満ちた瞬間に語り手へ渡る 1 文です。実例では「物音に引き寄せられて、魔物が姿を現す。」と書いています。

フェーズのクロックは、そのフェーズの中だけで使います。フェーズに入るたびに初期値から始まり、別のフェーズへは持ち越しません。「行動ごと」も、そのフェーズに入ってからの行動数で数えます。

「〜のときだけ」進む規則

進む規則には「条件を付ける」で、状態の項目の条件を付けられます(「以外のとき」も使え、いくつ並べても「かつ」で組めます)。条件が成り立っているあいだだけ、その規則で進みます。フェーズのクロックでも物語全体のクロックでも使えます。

クロック進む規則条件遊ぶ側では
発症まで(物語全体)2 行動ごとに 1「噛まれた仲間」が「大吾」のときだけ噛まれるまで出ず、噛まれた瞬間から刻み始める
発症まで(物語全体)4 行動ごとに 1「噛まれた仲間」が「柊二」のときだけ薬で遅らせている分、ゆっくり進む
群れの接近(フェーズ)行動ごとに 1「物音」が 4 以上のときだけ音を立てるほど群れが速く寄ってくる

状態で動き出すクロックや、状態で速さが変わるクロックを、フェーズを分けずに 1 つのフェーズの中で作れます。物語全体のクロックは、初期値のまま進める規則がどれも成り立たないあいだは、章タブにも語り手にも出ません。

状態による出し分け

フェーズの「装置とキャスト」にある「状態による出し分け」で、状態に応じて目標・役割・導入文・キャストの構え・推奨技能を差し替えられます。「大吾が噛まれているとき」「薬を打ったあと」のような違いのために、同じ場所のフェーズを分けずに済みます。

出し分け条件差し替える欄
大吾が噛まれているとき「噛まれた仲間」が「大吾」目標「大吾が発症する前に船着き場へ」・大吾の構え「平気だと言い張り、先頭を譲らない」
柊二が噛まれているとき「噛まれた仲間」が「柊二」、かつ「薬のアンプル」が「はい」導入文「薬が効いているあいだは、熱はゆっくりしか上がらない」・ことりの構え「脈を何度も取る」

上から順に見て、最初に条件をすべて満たす出し分けが効きます。空の欄は元のまま使うので、変えたい欄だけを書けば足ります。どの出し分けが効くかはサーバーが決め、語り手には差し替えた後の文だけが渡ります。導入文は、フェーズに入った時点で当てはまる出し分けのものが 1 回だけ渡ります。

物語全体のクロック

期限や、物語を通して溜まっていく危険には、「遊び方 > ルールと判定 > 物語全体のクロック」を使います。物語に 1 回置くだけで、どの章・どのフェーズでも同じ値で続きます。「行動ごと」は物語全体の行動数で数えるので、短いフェーズが続いても期限はきちんと近づきます。遊ぶ人が選んだ難易度の行動上限の倍率も効き、やさしいほど満ちるまでの行動が増えます。

物語全体のクロック目盛り進み方目盛りの呼び名満タンで
夜明けの連絡船(危険)8物語全体で 3 行動ごとに 1午後十時・午後十一時・…・午前六時連絡船が桟橋を離れる

目盛りの呼び名を書くと、章タブに「午前二時(4/8)」のように出て、語り手にも同じ時刻が伝わります。物語全体で 60 行動のような行動の予算も、目盛り 12・5 行動ごとに 1 進むクロックにすれば作れます。遊ぶ人は 60 行動を章に好きなように配分できます。

フェーズの「装置とキャスト」にある「物語全体のクロックの進み方」で、そのフェーズにいるあいだだけ進み方を足せます。籠城のフェーズだけ夜明けが 2 行動ごとに近づく、北の小道にいるあいだだけ「たどり着くまで」が判定の成功で進む、のようにフェーズごとの速さを作れます。物語の進み方を持たず、フェーズの進み方だけで進むクロックは、動き始めてから章タブに出ます。

満ちたときの行き先は、どのフェーズの遷移でも「物語全体のクロックが満ちたら」で選べます。満ちたことは記録に残るので、満ちた後に入ったフェーズでも、その遷移がすぐ成り立ちます。

手がかり

フェーズの「判定と手がかり」で、フェーズに手がかりを置きます。「開くきっかけ」は「到達で開く」「判定に成功したら」「大成功したら」から選びます。開いた手がかりは遊ぶ人の章タブに残り、語り手にも渡ります(8 個まで)。

コツは、1 つの結論に手がかりを 3 本置くことです。どれか 1 本を見落としても、残りから結論に辿り着けます。到達で 1 本、別々の技能の判定で 2 本、と分けると、どの遊び方でも先へ進めます。

フェーズ手がかり開くきっかけ
石の回廊壁の苔が一方向へ伸びている。奥から空気が流れている観察の判定に成功したら
石の回廊床の水溜まりに、数日前の重い足跡が複数残っている探索の判定に成功したら
水没した広間扉の錠前には最近こじ開けられた新しい傷がある観察の判定に成功したら

遭遇表

遭遇表は、抽選の技能(出目表)をフェーズに結び付けたものです。ダイス判定で抽選の技能を作り、フェーズの「装置とキャスト」の遭遇表で「行動ごとに引く」「到達したときに引く」「場所へ移動したときに引く」から選びます(3 個まで)。

遭遇表は判定の無かった手番に引かれ、🎲 の行に「世界が動いた」と出ます。引いた結果名は語り手に渡り、場面に出来事が差し込まれます。

一階層の遭遇(1〜100)結果名
1〜35何も現れない。水音だけが響く
36〜60苔スライムの群れが水面から盛り上がる
61〜80洞窟蝙蝠の群れが頭上を掠める
81〜100石人形が柱の影から起き上がる

石の回廊では 5 行動ごとに引きます。「何も起きない」行を入れておくと、静かな手番と出来事の手番に緩急がつきます。

遷移 6 種

フェーズの「次へ進む条件」で、何が起きたらどのフェーズへ行くかを決めます。1 つのフェーズに分岐をいくつも置けます。「少なくとも N 回の行動をしてから進む」を付けると、フェーズを味わう時間を作れます。

条件成り立つとき実例
判定の結果で指定した技能が成功・失敗・大成功・大失敗したとき(回数も指定できる)開錠に成功 → 封じられた鉄扉
クロックが満タンになったらこのフェーズのクロックが満ちた瞬間探索の進展 → 水没した広間/魔物の気配 → 襲撃
遊ぶ人が選んだら遊ぶ人が「ボタンの文言」を押したとき。2 本以上で選択肢になる「扉を諦めて野営へ」→ 撤退
状態がこうなったら状態の項目が条件を満たしたとき体力が 10 以下になったら → 退くフェーズ
場面がこうなったら(AI が判定)書いた出来事が起きたと AI が判断したとき「仲間の一人が過去を打ち明けた」
「次へ」で進む遊ぶ人がいつでも「次へ」を押したとき会話を楽しむ場面の出口

前のフェーズへ戻る分岐は作れません。同じ場所へ戻る展開は、新しいフェーズとして置きます。

マップの接続

「遊び方 > マップ」で、場所ごとに「ここから行ける場所」を選びます(向きは片方向です)。「移動を接続先に限定する」をオンにすると、遊ぶ人の移動も語り手の場面転換も接続先だけになり、道順のある探索になります。

章の「章に入ったときの場所」と、フェーズの「このフェーズに入ったときの場所」で現在地を決められます。実例では、第 1 章は管理ギルドで始まり、石の回廊に入ると一階層へ、撤退に入ると一階層の野営地へ移ります。

このフェーズでは移動できない

フェーズの「このフェーズでは移動できない」をオンにすると、そのフェーズの間はマップの移動と語り手の場面転換が止まります。戦闘のように、その場を離れられない場面に使います。実例では「襲撃」に付けています。遊ぶ人のマップには、移動できない理由がフェーズ名つきで出ます。

次の章と結末

遷移を持たないフェーズは終端で、着くと章が終わります。終端では「次の章」で行き先の章を選べます。既定は「次の位置の章」です。「物語の結末にする」をオンにすると、着いた時点でプレイを締め、結末として記録します。

実例の第 1 章は、「封じられた鉄扉」と「撤退」の 2 つの終端がどちらも第 2 章(野営)へ続きます。第 5 章では「傷跡の先へ」が第 6 章(黒龍)へ、「匂いの先へ」が第 7 章(魔光腐花)へ送り、ルートが分かれます。

ハンドアウト

「章 > この章のルール > ハンドアウト(遊ぶ人だけが読む)」に、章の始めに遊ぶ人だけが読む使命や秘密を書きます。語り手には渡りません。遊ぶ人は秘密を胸に秘めたまま場面に入り、打ち明ける瞬間を自分で選べます。

あなたは管理ギルドから派遣された記録係。表向きの任務は調査の記録と監督官アヤメの補佐。だが出発前、ギルド長から一つだけ耳打ちされている。「失踪者の中に、ギルドの職員が二人いる。名簿には載せていない。見つけても、仲間には言うな」

進行指示

「進行指示(語り手が読む)」は、その章にいる間、語り手が毎ターン従う指示です。舞台の見た目、出してよい魔物の強さ、キャスト同士の距離感のように、章を通して変わらないことを書きます。

「裏設定(キャラには伏せる情報)」は、「遊び方 > ルールと判定 > ゲームルール」の「キャラから話を動かす」をオンにした物語で使われます。オンにすると、キャラが伏せた真相を材料に自分から話を動かします。

行動上限と強制締め

章の「行動上限」は、その章で遊ぶ人が行動できる回数です。発言ごとに 1 減り、判定が大失敗だったときも 1 減ります。尽きると、語り手がその日の行動の終わりとして章を締めます。

「行動上限が尽きたら送信を止める」をオンにすると、0 になった時点で新しい行動を受け付けず、「章を締める」と「次の章へ」の導線だけを出します。章の区切りがはっきりして、限られた行動をどう使うかの緊張感が生まれます。実例の第 1 章は行動上限 30・オンです。

遊ぶ人から見える姿

作者の設定が、遊ぶ人の画面のどこに出るかの対応です。

遊ぶ人の画面出るもの作者の設定
章・進行タブ章の題・残り行動・難易度章の題名・行動上限・遊ぶ人が選ぶ難易度
章・進行タブいまのフェーズと目標フェーズの題名・目標
章・進行タブクロック(何目盛り溜まったか)クロックの「遊ぶ人に見せる」
章・進行タブ手がかり開いた手がかり
章・進行タブ選べる展開(あと N 手で選べる)「遊ぶ人が選んだら」「「次へ」で進む」の遷移・少なくとも N 回の行動
状態タブ体力・所持品などの値状態の項目の「遊ぶ人に見せる」
🎲 の行技能・出目・成否・段階(難しいなど)技能・難易度の型
🎲 の行修正の理由(瀕死など)状態による修正の「理由」
🎲 の行何が懸かっているか技能の説明
🎲 の行見出し(判定が入った/語り手が判定を求めた/世界が動いた)遊び方の型・遭遇表
技能を使う技能の一覧と残りの回数。振ると結果を前提にした候補から選べる技能・回数制限
人物相関タブ関係の段階・絆・気分キャストごとの状態
マップタブここから行ける場所・移動できない理由ここから行ける場所・移動を接続先に限定する・このフェーズでは移動できない
ハンドアウトのカード章の始めの使命や秘密ハンドアウト

設計の型

1 章の雛形

1 章を 5 つのフェーズで組むと、セッション 1 回分の起伏が作れます。

フェーズ役割置く装置第 1 章では
入口顔合わせと目的の確認「遊ぶ人が選んだら」で出発合流
課題探って手がかりを集める進展と危険のクロック・手がかり・遭遇表石の回廊
逆境危険が満ちたときの窮地戦闘の型(下の節)襲撃
山場1 回の判定に懸ける「判定の結果で」の遷移・別の出口の選択水没した広間
報酬成果を確かめて締める終端・次の章封じられた鉄扉

山場には「諦める」出口を選択肢で置いておくと、判定に失敗し続けても物語が先へ進みます。第 1 章では「扉を諦めて野営へ」が撤退のフェーズへつながります。

野営の章

探索の章のあいだに、フェーズの無い短い章を挟みます。行動上限は空にして、休息・会話・準備に充てます。

  • 状態の上書き: 体力を 100 に、階層を「一階層の野営地」に書き換えます。
  • 技能の回数を戻す: 「すべての技能」を選び、回数制限のある技能を上限まで戻します。
  • 進行指示: 「探索も戦闘も起こさない」「キャストとの距離が縮まる会話にする」「次の階層へ降りる意思を確かめて締める」と書きます。

緊張の続いた章のあとに置くと、キャストとの関係を深める時間になります。

章の分岐と結末

章の最後に「遊ぶ人が選んだら」の分岐を置き、それぞれの終端で別の「次の章」を選ぶと、ルートが分かれます。実例の第 5 章「二つの痕跡」では、傷跡を追うと黒龍の章へ、甘い異臭を追うと魔光腐花の章へ進みます。

最後の章では、勝ちと負けの両方の終端に「物語の結末にする」を付けます。実例の黒龍の章は「討伐」と「敗走」がどちらも結末です。負けても物語として締まるので、遊ぶ人は結果を受け止めて次の周へ進めます。

戦闘のフェーズ

戦闘は、クロック 2 本と移動の制限で組みます。

  • 敵の残り = 進展のクロック: 戦闘系の技能の成功で 1、どの技能でも大成功で 2 進めます。満タンで「斬り抜ける」先へ。
  • 傷 = 危険のクロック: どの技能でも判定に失敗したら 1 進めます。満タンで「退く」先へ。
  • このフェーズでは移動できないをオンにして、戦闘の途中でフェーズが流れないようにします。
  • 推奨技能に戦闘・回避・キャストの大技を入れると、レフェリーがそれらを優先して考えます。

実例の「襲撃」は、石人形の残り(目盛り 2)と傷(目盛り 3)で組んでいます。終章の黒龍は、黒龍の体力 5 と、2 行動ごとにも溜まる龍の怒り 5 で、長い決戦にしています。

保存前の点検の読み方

「遊び方」と「章」のステップの先頭にある「点検」と、章の「この章の点検」は、保存済みの内容から効かない設定と先へ進めなくなる設定を拾います。「注意」は遊ぶ側で困ることがある点、「お知らせ」は知っておくと役立つ点です。保存はそのままできます。直して保存すると、点検も新しくなります。

ダイスが OFF なのに判定を使っている

フェーズに判定で開く手がかり・判定で進むクロック・遭遇表・「判定の結果で」の遷移があるのに、ダイスが OFF のときに出ます。遊び方の型を「語り手が判定を求める」か「TRPG(レフェリー)」にすると、判定の結果でフェーズが進みます。

このフェーズから先へ進めない

どの遷移も成り立たないフェーズに出ます。たとえば、ダイスが OFF なのに出口が「判定の結果で」だけのフェーズです。「遊ぶ人が選んだら」か「「次へ」で進む」の遷移を 1 本足すと、確実に先へ進めます。

終端に着く前に行動が尽きる

「行動上限が尽きたら送信を止める」がオンで、終端までの最短の行動数が行動上限を超えるときに出ます。そのままだと、終端に着く前に時間切れで次の章へ送られます。難易度で行動上限が減る段も確かめます。行動上限を増やすか、フェーズの最低行動数を減らすと、どの難易度でも終端まで遊び切れます。

裏設定はディレクターが ON のときだけ

章に裏設定があるのに、「キャラから話を動かす」がオフのときに出ます。「遊び方 > ルールと判定 > ゲームルール」でオンにすると、キャラが裏設定を材料に話を動かします。語り手に毎ターン守らせたいことは、進行指示に書きます。

難易度を選んでも何も変わらない

遊ぶ人が選ぶ難易度を置いたのに、行動上限の倍率も判定の補正も効かないときに出ます。行動上限のある章が無い、難易度の型が「技能値そのまま」、といった組み合わせです。章に行動上限を付けると倍率が効き、難易度の型を「3 段階と修正」にすると判定の補正が効きます。片方だけ効くときは、お知らせとして出ます。

レフェリーの難しさが効かない

使用タイミングが「レフェリーに任せる」で、難易度の型が「技能値そのまま」のときのお知らせです。「3 段階と修正」にすると、行動に合わせて判定の難しさが変わります。

クロックが進まない

進む規則の無いクロックや、「目標に近づいたと判断されたら」の規則があるのにレフェリーを使っていないクロックに出ます。「行動ごと」か判定の規則を足すと、満タンになったときにフェーズが進みます。

移動で動く装置にマップの場所が無い

「場所へ移動したら」のクロックや「場所へ移動したときに引く」の遭遇表があるのに、マップに場所が無いときに出ます。マップに場所を作ると、移動で物語が動きます。

最後のフェーズに結末の印が無い

物語の最後の終端に「物語の結末にする」が無いときのお知らせです。付けると、遊ぶ人のプレイに結末として記録されます。

「章を締める」の閾値が行動上限の無い章にある

閾値の効果「章を締める」は、行動上限のある章で残り行動を 0 にして締めまで運びます。行動上限の無い章では語り手への合図になります。章に行動上限を付けると、閾値で章を確実に締められます。

物語全体のクロックがどこからも進まない

物語全体のクロックに、遊び方での進み方も、どのフェーズの「物語全体のクロックの進み方」も無いときに出ます。どちらかを付けると、期限として動きます。

判定の効果が動かせない項目を指している / どこからも動かない項目がある

技能の「結果で状態を動かす」やフェーズの「判定の追加の効果」が、状態の項目に無い項目(または文章の項目)を指しているときに出ます。数値・段階・はい/いいえ・リストの項目を選ぶと、判定のたびに状態へ反映されます。

「サーバーだけが変える」にした項目を、判定の効果も章・フェーズの状態の上書きも動かしていないときにもお知らせします。どちらかで動かすと、遊ぶ人の判定やフェーズの移り変わりが数値に残ります。

💡 フェーズの編集画面にも「保存はできますが、確かめておくと安心な点」が出ます。満タンになっても何も起きないクロック、一覧に無い技能、1 本だけの選択肢などを、保存前に知らせます。物語の書き方全般は物語で遊ぶとAI に伝わる書き方にまとめています。