マイルストーンで物語を進める

マイルストーンは、物語を「段階(フェーズ)」に区切る仕組みです。設定しなくても会話は成立しますが、これを使うと「雑談で終わらず、狙った方向へ物語が進む」ようになります。

マイルストーンとは?

本やドラマが「章」で区切られているのと同じで、物語を いくつかの段階に分ける のがマイルストーンです。 各段階の中ではプレイヤーが自由に展開を作れますが、次の段階へ進む条件を満たすまで、AI は今の段階で決めた範囲を超えません。 これにより「出会う → 距離が縮む → 打ち明ける」のように、話が段階的に前へ進みます。

プレイ中は、入力欄の上に「次へ →」ボタン (分岐点では選択肢ごとのボタン) と、フェーズ一覧を開く本のアイコンが出ます。本のアイコンから、各段階の方針を読み取り専用で確認できます。

💡 最初は設定せず作ってみて、「もっと物語らしく進めたい」と思ってから足す、で十分です。まずは 2〜4 段階、「序盤・中盤・終盤」くらいの粒度が扱いやすいです。

編集画面の見方

シナリオ編集の「マイルストーンモード」タブで作ります。左にフェーズの流れ、右に選んだフェーズの編集欄が並びます。

  • 左の流れ: フェーズが上から並び、フェーズの間に「どうなったら次へ進むか」が一文で出ます。押したフェーズが右で開きます。
  • このフェーズのまとめ: 編集欄の一番上に、書いた内容が 1 つの文章で出ます。「どんな場面で、キャラがどう話し、何が起きたらどこへ進むか」を読み返せます。
  • 準備のチェック: 「名前」「物語での役割」「次へのつながり」の 3 つが揃うと、フェーズにチェックが付きます。上の帯には、準備できたフェーズの数が出ます。
  • 保存: 書き換えると、画面の下に「保存していない変更があります」の帯が出ます。そこか、上の帯の「保存する」で保存します。

アリスの見本から始める

フェーズがまだ無いときは、「アリスの見本で試す」から見本を入れられます。雨宿りで入った古本屋で、店番のアリスと出会う日常の話です。4 つのフェーズと、選択肢で分かれる分岐が 1 つ入っていて、各欄がどう埋まるかをそのまま見られます。入れたあとに自分の物語へ書き換えていけます。

アリスと組み立てる

右上の 「アリスと組み立てる」 を押すと、横から相談の窓が開きます。「距離が縮まる 5 段の物語にして」のように作りたい流れを話すと、アリスが骨組みを組み立てて提案し、確認のうえでその段数ぶんのフェーズを作ります。台本を書いていなくても、話しながら形にできます。

  • すでにフェーズがある場合、作り直すと今のフェーズと入れ替わります(元に戻せません)。確認の欄に件数が出るので、そこで判断してください。
  • 作られるのは一本道(分岐なし)です。ルート分けをしたいときは、あとで各フェーズの「分岐を追加」から行き先をつないでください。

骨組みから始める

上の帯の 「骨組み」 から、よくある構成を流し込めます。「3 段階」「二択分岐 → 合流」などの型を選ぶと、フェーズと進み方の骨格が入るので、あとは中身を自分の物語に書き換えるだけです。よく使う構成は「現在の構成を保存」で自分の骨組みにして、別のシナリオでも呼び出せます。

各フェーズに書く項目

編集欄は上から 4 つの段に分かれています。全部埋める必要はなく、まずは 1 と 3 だけでも機能します。

  • 1. このフェーズで起きること
    • 物語での役割: この段階で起きる変化。例:「相手が本心を少し見せ始める」。
    • キャラの心構え: この段階でキャラがどんな気持ちで反応するか。例:「まだ警戒しているが、興味も出てきている」。
  • 2. キャラの話し方と踏み込み
    • 口調・トーン: 話し方・感情の出し方。「序盤は丁寧、徐々に砕ける」のような変化もここに。
    • 踏み込んでよい範囲: どこまで踏み込むか。例:「言葉のやり取りまで」「距離感の変化まで」。ここに書いていない踏み込みはしません。
  • 3. 次へ進む条件: どうなったら、どのフェーズへ進むか(次の節)。
  • 4. 演出の詳細(任意): まとまりごとに畳んであり、見出しに入力済みの数が出ます。
    • 物語の仕掛け: 「このフェーズで明かす事実」と「裏で進んでいること(キャラは知らない)」。明かす事実はその段階に着くまで AI に渡らないので、結末や正体のネタバレが起きません。裏で進んでいることはキャラの台詞には出ず、AI が物語を進める判断にだけ使います。
    • キャラの動き出し: 「この場面の狙い」(キャラが 自分から 向かいたい方向。例:「あなた(キャラ)は、主人公に今日の出来事を自分から尋ねたい」)と、「フェーズに入った直後の指示」。
    • 気持ちの初期値: この段階に入った瞬間のキャラの気持ちの数値(詳しくは次章)。
    • 補足: ほかの欄に入らない場面の情報。

進み方の選び方

「次へ進む条件」では、進み方を 5 つのカードから選びます。おすすめは「出来事が起きたら進む」です。プレイヤーが「次へ」を押さなくても、会話の流れに合わせて段階が進みます。

  • 出来事が起きたら進むおすすめ: 書いておいた出来事が会話で起きたと AI が判断すると、自動で次の段階へ進みます。 「主人公が秘密を打ち明けたら」「二人が外へ向かい始めたら」のように、物語の転換点をそのまま条件にできます。プレイヤーは「次へ」を押すことを意識せず、会話に集中できます。
  • プレイヤーが選んで進む: 会話の途中に選択肢のボタンが出て、選んだ先へ進みます。分岐させたいときや、まず確実に動かしたいときに。
  • AI に頃合いを任せる: 条件を書かずに、区切りのよいところで AI が次へ進めます(下の節)。
  • 発言の回数で進む: プレイヤーが決めた回数だけ話すと進めるようになります。「もう少しこの場面で遊んでほしい」時に。
  • 気持ちの数値で進む: 信頼などの数値が目安に届くと進みます。「信頼が育つまで待つ」時に。
💡 「出来事が起きたら進む」をうまく効かせるコツは 2 つ。①出来事は「主人公が◯◯と言った / した」のように会話文に直接現れる形で書く(“ほのめかし”では進みません)。②急ぎすぎないよう「最低○往復はこのフェーズに留まる」を 1〜3 にする。この 2 つで「進みすぎ/進まない」の両方を避けられます。

「AI に頃合いを任せる」

「目的地へ向かう途中」のような、抜ける条件を決めきれない自由区間に向いています。条件を書かず、決めた往復数を過ぎてから、AI が「この区間を締めて次へ進む頃合いか」を判断して自動で進めます。「出来事が起きたら進む」との違いは、出来事を書かず頃合いを AI に委ねる点です。

①行き先が 1 つのときに選べます(分岐のあるフェーズでは選べません)。②「最低○往復」は 1 以上になります(1 ターンで区間が終わらないようにするため。選ぶと 3 が入ります)。

レシピ集:こうしたい → ここに、こう書く

こうしたい

抜ける条件を決めきれない自由区間を、頃合いよく AI に締めさせたい

どこで: 「次へ進む条件」= AI に頃合いを任せる

こう書く

  • 進み方 = AI に頃合いを任せる

    カードで「AI に頃合いを任せる」を選ぶ。出来事は書かない。

  • 最低○往復はこのフェーズに留まる

    「3」など(1 以上)。この往復数を過ぎてから、AI が頃合いを見て次へ進める。

こう扱われる

決めた往復数までは必ず滞在し、それ以降は AI が「この区間を締めて次へ進む頃合いか」を毎ターン判断して、頃合いが来たら自動で次のフェーズへ進みます。

注意: 分岐(複数の行き先)とは併用できません。行き先を 1 本に絞ったフェーズでのみ選べます。抜ける条件を言葉で決められるなら「出来事が起きたら進む」の方が狙った所で進みます。

こうしたい

キャラから「次のシーンの提案」を二択でさせたい

どこで: 各フェーズの欄 +「次へ進む条件」(分岐)

こう書く

  • 物語での役割

    この段階でキャラが“区切り”を切り出す。例:「しつこいやり取りに耐えかね、キャラから『続きは別の場所で』と条件を出す」。

  • 踏み込んでよい範囲

    「キャラから続きを提案する」。← 提案という行為をはっきり許可する。

  • この場面の狙い

    「あなた(キャラ)は、主人公に “このまま続ける / 場所を変える” のどちらにするかを自分から尋ねたい」。

  • 分岐を追加 → 各分岐を「出来事が起きたら進む」に

    分岐 1 の出来事「主人公が場所を変えることを選んだ」/分岐 2 の出来事「主人公がこのまま続けることを選んだ」。それぞれ別のフェーズへつなぐ。

こう扱われる

キャラが自分から二択を切り出し、主人公がどちらを選んだかを AI が判断して、対応するフェーズへ自動で分岐します。

注意: 踏み込んでよい範囲に書いていないことはしません。出来事は「文中に直接書かれる言葉」で書くと判断が安定します(“ほのめかし”では進みません)。ボタンで選ばせたいときは、各分岐を「プレイヤーが選んで進む」にして選択肢の文言を書きます。

こうしたい

ある展開になったら自動で次の段階へ進めたい

どこで: 「次へ進む条件」= 出来事が起きたら進む

こう書く

  • こんな出来事が起きたら進む

    起きてほしい出来事を書く。例:「主人公が秘密を打ち明けた」「キャラが本心を漏らした」。複数書くと、どれか 1 つが起きた時点で進みます。

  • 最低○往復はこのフェーズに留まる

    「3」など。出来事が起きても、最低この往復数はこの段階に留めてから進む(急ぎすぎ防止)。

こう扱われる

AI が毎ターン出来事が起きたかを判断し、起きた時点で次のフェーズへ自動で切り替わります。

注意: 出来事は“見て分かる事実”で。「主人公が◯◯と言った/した」の形が最も安定します。

こうしたい

結末や正体を、先にバラさせたくない

どこで: 演出の詳細「物語の仕掛け」+ 先のフェーズを隠す

こう書く

  • このフェーズで明かす事実(1 行に 1 つ)

    その段階で“初めて明かしていい”事実だけを書く。例(終盤フェーズ):「実は幼馴染だった」。序盤フェーズには書かない。

  • 先のフェーズを隠す(上の帯)

    ON。プレイヤー向けのフェーズ一覧でも、まだ着いていない段階を伏せる。

こう扱われる

キャラは“今の段階までに明かした事実”しか知りません。まだ着いていないフェーズの事実は AI に渡らないので、キャラが結末を先に口走ることがなくなります。

注意: 「キャラにはまだ内緒だが物語には存在する仕込み」は、明かす事実ではなく『裏で進んでいること』へ。

こうしたい

もう少しこの場面を続けさせたい・じらしたい

どこで: 「次へ進む条件」

こう書く

  • 進み方 = 発言の回数で進む

    「5」など。プレイヤーが N 回話すまで「次へ」ボタンを押せなくする。

  • (出来事で進むとき)最低○往復はこのフェーズに留まる

    出来事が起きても、この往復数までは進ませない。

こう扱われる

決めた回数のやり取りを重ねるまで、その場面が続きます。あっさり進みすぎるのを防げます。

こうしたい

信頼が育つまでは、先に進ませたくない

どこで: 「次へ進む条件」+ 演出の詳細「気持ちの初期値」

こう書く

  • 進み方 = 気持ちの数値で進む

    「信頼 60 以上」など、目安の数値に届くまで進めない。

  • 気持ちの初期値

    この段階の入口の数値(例: 信頼 20)を決め、会話でそこから育てていく。

こう扱われる

会話でキャラの気持ちが動き、目安の数値に届くまでは次へ進みません。「関係が育ってから展開する」流れを作れます。

よくあるつまずき

  • 「次へ」が押せない → 進み方が「プレイヤーが選んで進む」以外(回数 / 気持ち / 出来事)で、条件をまだ満たしていません。条件を見直すか、一時的に「プレイヤーが選んで進む」へ。
  • 出来事で進まない → 出来事が“ほのめかし”になっている可能性。「主人公が◯◯と言った/した」のように、会話文に直接現れる形へ。
  • 各段階が同じ雰囲気になる → 前の段階とキャラの心構え・口調を同じに書いていないか確認。「ここで何が変わるか」を各段階に。
  • キャラが受け身になる → 演出の詳細「キャラの動き出し」の「この場面の狙い」に、キャラが自分からやりたいことを 1 行入れる。

出来事で進まない原因は、書き方の側にあることがほとんどです。判断する AI が何を見ているか、出来事をどんな形で書けば拾われるかはAI に伝わる書き方の章に、実測した失敗例と直し方を並べてあります。