「職人」のタグが付いたシナリオと物語を29件まとめました。「お仕事」、「ヒューマンドラマ」、「社会人」も付いた作品が多いので、好みの組み合わせで選べます。
王都ヴェルナの冬は早い。東門の施療院に学院から痺れ止めが届くのは年に何度かで、そのたびにあなたは西棟の調合室まで瓶を受け取りに行く。作っているのはテオドラ・ミ…
王都ヴェルナの東門で鐘が裂けた。撞げば鳴る。だが音は城壁の外で細くなる。代わりの鐘が下りてくるまでの夜は、誰かが環の縁まで雷の線を引いて、鐘の音を外へ運ばなけ…
鐘の王国ヴェルナの王宮で厨房を預かる料理長ティエリは、二十六歳で王の食卓を任された腕利きで、厨房に女を一人も入れない。女の配膳係も菓子係も通されるのは扉の外の…
聖都アウレリアの白の大聖堂の裏に、施療院の薬を育てる硝子の温室がある。園丁のジュスタン・クレルモンは聖都でいちばん薬草に詳しく、温室に女を入れない。修道女にも…
汐見市の港の外れに、代々続く花火師の家がある。跡取りの火宮はやては玉を組む腕なら親方の父より上だと言われる二十四歳で、火薬を扱う作業場には女を入れないしきたり…
王国ベルフォールの宮廷画家ラザール・ヴェルディエは、女の肖像を描かないことで知られている。令嬢たちの注文をすべて断り、描くのは国王と騎士と馬ばかり。その彼に王…
王都アーレンベルクの下町、糸車通りにあるからくり人形の工房。冬に親方の祖父が亡くなり、孫娘のシーリが工房を継いだ。春の祝祭の人形展に出す等身大の人形は、祖父が…
王国ベルフォールの王都の裏通りに、錬金工房「銅の蒸留器」がある。師匠が三か月の旅に出て、弟子のマルティーヌが店を預かった翌週、王宮から春の夜会に使う灯り薬の大…
七月の半ば、梅雨が明けた。あなたと恋人の春日優吾が暮らす朝凪駅近くの2LDKは、建て替えの決まった古いマンションで、最初から八月三十一日までの約束で借りた部屋…
霜が降りる季節になると八尋郷の門は日暮れと同時に閉まる。霧の濃い夜はとりわけ早く、番人が梯子を外して、翌朝まで誰も上げない。去年、一人で立った見張りが朝になっ…
王都ヴェルナの下町では、日が落ちてからが商売になる。表通りの錠前屋ソレル店の掛けは三か月分たまっていて、店主のジャンは待ってくれと言い、帳場のマリカは湯呑みを…
横浜の弓専門メーカーはミツガケ商会だ。開発部の三ツ掛環は試作の長弓を撃ち比べる射手で創業家の三女でもある。射が当たれば家の射場と道具のおかげだと受け流す人だ。…
一月五日、仕事始め。朝凪駅前の寿々屋百貨店で催事を担当するあなたは、月末の「新春 京の老舗と朝凪の菓子展」に隣の和菓子屋「嵯峨乃屋」を推して通した。店を五十年…
ミツガケ商会は横浜の弓専門メーカーだ。エーテル金属の矢尻を作っている。真柴灯はそこの矢尻職人だ。回収された矢を研ぎ直す仕事を一人で受け持っている。元は自分でダ…
魔王城の西側の私室。秋の終わりから冬のはじめにかけて、あなたは毎晩そこへ呼ばれる。蔵に長くしまわれていたローゼンタール家の硝子を、冬の夜会までに間に合わせるた…
秋の終わりに汐見津の港は季節風で止まる。沖に白い波が立つ。桟橋の荷は動かない。西方へ流すはずの龍骨が、町のあちこちの土間に積まれたままになる。 あなたは山あい…
ミツガケ商会の試作長弓 MG3 が、エーテル資源管理局の装備採用試験に出る。審査は命中と回収と整備の記録で、落ちれば開発は打ち切られる。 試作弓 品書き ミツ…
鋳物師どの。 北のオルテンで鐘にひびが入った。撞けども音は二つに割れる。 冬至までに新しい鐘を一口鋳て、あの鐘楼へ吊るしてこい。町の夜を音で囲める形に戻すのが…
薬屋町白澤堂の検分を五日後と定めた。其の方は明日より白澤堂に泊まり込み、下見を務めよ。 城下に冬咳が広がって以来、藩は薬を出せぬ薬屋を閉め、御典医の薬に一本化…
城下に流行り病が広がった秋の初め、藩の薬種改め方の下役であるあなたは、検分の下見のために薬屋・橘屋へ五日のあいだ泊まり込むことになった。店の調合を一人で引き受…
祖母が急に亡くなって、あなたは料亭「桂月」の女将になった。二十二歳で、献立を組んだことは一度もない。板場を預かる花板の一条蓮は祖母の代からの職人で、あなたを女…
坂の上の焙煎所は朝七時に音で始まる。 向かいの工事の音のほうが早く始まるようになった。 焙煎所ハゼ 品書き 本日の豆 :中煎り一種・深煎り一種 (焙煎は毎朝七…
櫟屋 秋の大寄せ 品書き(案) 日取り :三日後の夕の宴 (先代の四十九日を待たずに開く) 席数 :百二十 (うち三席は組合の目利き。どの席かは誰にも分からな…
春にこの町へ越してきてから、仕事帰りに寄れる店は閉店前のパティスリー・カンラしかなかった。早蕨通り商店街の外れ、元は和菓子屋だったという建物で、店主の甘楽志道…