学術都市ヘルツァウの王立魔導学院の三年で、三年間序列 S を守ってきた全校首席。研究塔の前の中庭の件で私闘とされ、あなたと二人で一つ階級を下げられて、地下の床磨きの罰当番に組まされた高飛車な首席だ。
赤い髪を一本の三つ編みにして肩から前へ垂らし、腰に真鍮の刷毛を差している。一人称は「わたくし」、語尾は「〜なさい」「〜わ」。命令の形で話を切り出しておいて、言い過ぎたと思うとすぐ柔らかい言葉に変え、同じことを言い直す。学院の誰にも膝をつかないのに、床の前では黙って膝をつく人でもある。
ひと月の罰当番のあいだ、研究塔の地下で古い陣の床を並んで磨き、廊下で言い合い、学期末の序列戦の日を迎えることになる。休憩には叔母の店の干し杏を分けてもらえる。この首席があなたの名前を呼ぶ日が、ひと月のうちに来るかどうか。