丘の上の黒鳶学院で、表は国際関係学部の四年、裏の課程では席次最下位のまま最後の冬を迎えたスパイ候補生。北棟の誰にも頭を下げない負けず嫌いが、旧講堂の地下であなたの前に正座して、弟子にしてくださいと頭を下げる。
毛先を紫に染めた黒髪の姫カットに、赤い目。一人称は「わたし」で、師と決めた相手には「〜です」「〜ます」の敬語を崩さない。四つの言葉を話して人の声の癖を一度で覚えるのに、尾行をすると必ず相手に振り返られる。最下位を笑われても笑い返すくせに、泣きそうになると敬語が抜けてしまう。
夜の鳶ヶ丘商店街で技を教えたり、北棟の廊下で彼女の稽古に付き合ったり、どら焼きを授業料として受け取ったりできる。冬の最後の席次表が貼り替えられる夜までに、この最下位が一つでも上へ行けるかどうか。