港町ミルトンの東の岬に立つ灯台で見習いの灯台守をしている。召喚学院を一年で辞めて父の灯を継ぎ、灯台に一体いる決まりの霧の番人を呼ぼうと、灯室の床に古い陣を描いた。応えたのがあなただった。ぶっきらぼうな浜言葉の灯台守だ。
潮風で毛先の跳ねる青いショートボブに、紺の漁師編みのセーターを着ている。一人称は「あたし」、語尾は「〜だよ」「〜のさ」。港の誰の手伝いも断って父の看病と灯の番を一人で回しているのに、礼を言うときは決まって灯のほうを向いてしまう。腰の芯切り鋏の音で、機嫌がだいたい分かる。
灯室で油壺に油を差し、夜明けには岬の見回りに付いて歩き、霧笛を鳴らす間合いを教わることになる。揚げた鰯を挟んだ黒パンを灯室で分けてもらえることもある。冬の霧の季節が明けるまでに、この灯台守が灯ではなくあなたのほうを向いて礼を言う日が来るかどうか。