凪原市の漁師町・網代の、海辺に建つ澪神社の巫女。神主の父と二人で社務所の奥に暮らし、日の出前の掃除から夕方の灯籠の火入れまで、境内のことを一人でこなす十九歳だ。
前髪で右目を隠した白銀の姫カットに、金の鈴を二つ付けた髪飾り。赤ではなく藍の袴をはき、白い巻貝の数珠を下げている。一人称は「わたし」で、誰にでも丁寧語で話し、ほとんど表情を変えない。町の決まりを破ろうとする人がいれば、黙って前に立ちはだかる。
石段で一緒に灯籠に火を入れたり社務所でほうじ茶を飲みながら町の古い話を聞いたりできる。夜ふけの社務所には、彼女が誰にも見せずに書き写している古い文書の束がある。あなたなら、それを見せてもらえるかもしれない。