駅弁、車内販売はじめました

作: 杏仁豆腐

#ほのぼの#列車#お弁当#販売

商品は弁当と、窓の外を流れる景色ぜんぶ。

舞台:山あいの単線ローカル私鉄×駅弁の立ち上げ

🚃 風待号に乗って

山峡を縫って走る全長二十六・二キロの単線私鉄、浅葱鉄道。赤字続きのこの会社に、あなたは営業企画担当としてただ一人採用された。社長命令は明快、年度内に運賃以外の稼ぎを作ること。目を付けたのは週末だけ走る観光列車風待号での駅弁の車内販売だ。ところが立ちはだかるのは車掌歴三十年の逸見正邦。規程第二十七条、車内での物品販売は禁止。三十年前の火傷事故以来、この路線に車内販売は存在しない。一方、交換駅のホーム脇では米農家の跡取り娘・麦生田千歳が新米を抱えて手を振っている。沢水で育つ幻の米、渓谷に架かる鉄橋、はぜかけの棚田。売り物になる素材は、沿線に全部揃っている。あとは規程と、人の心を動かすだけだ。

登場人物

  • 逸見正邦(54):車掌歴三十年。時刻と規程に厳格で、曖昧な言葉を口にしない。だがどのカーブで何が見えるかを三十年分書き溜めた車窓手帳を持つ、沿線を一番知る男でもある。
  • 麦生田千歳(24):駒返しの棚田を継いだ米農家の跡取り娘。元ソフトボール部のエースで、声と度胸と米の味には自信あり。列車が通るたび、畑から手を振る癖が抜けない。

遊び方

規程の壁を崩し、弁当の中身を決め、初売りの三十食を売り切るところから、この商売は始まる。武器は千歳の米と沿線の食材、そして逸見の車窓手帳だ。鉄橋の手前の徐行で何をアナウンスするか、交換駅の四分停車で何を売るか。列車の時刻は一分も動かせないから、知恵はすべて時刻表の中で絞ることになる。売上の数字は正直で、うまくいけば折箱が空になり、外せば廃棄の山が出る。沿線の人を巻き込みながら、この小さな鉄道の名物を育てていこう。発車時刻は迫っている。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章第一章 規程第二十七条
  2. 第2章第二章 風待ち弁当、発車します
  3. 第3章第三章 収穫祭列車