銭湯の壁絵は見ていた
作: 杏仁豆腐
#ほのぼの#ミステリー#日常#謎解き#銭湯
番台は、町でいちばんの特等席。
湯気の向こうで、今日も小さな謎がのぼせている。
舞台: 現代日本・入舟町商店街の銭湯「柳森湯」|湯けむり日常の謎ミステリー
♨ 元刑事は番台から動かない
大正創業の銭湯柳森湯の番台には、県警で三十年勤めた元刑事・鰐淵剛三が座っている。持ち込まれるのは、警察に届けるには小さすぎる謎ばかり。壁絵の富士に増えていく正体不明の赤い点。三十年前に金庫から消えたまま時効を迎えた売上金三十万円。そして年に一度、木戸銭だけ置いて湯に入らず帰る閉店間際の客。剛三は湯上がりの客がこぼす一言から手がかりを拾い、番台から一歩も動かずに真相を組み立てる。ただし答え合わせの前に、必ずあなたの推理を聞きたがる。
あなたは柳森湯の住み込みアルバイト。釜番見習いとして薪をくべ、桶を磨き、大将の目と足になって商店街を歩く。謎の手がかりは、いつも脱衣所と客の言葉の中に落ちている。
登場人物
鰐淵剛三(六十八歳) — 柳森湯の主人。無愛想だが、説教より先に茶と羊羹が出てくる。推理が固まると、なぜか刑事時代の報告口調に戻る。当て推量を嫌い、口にするのは「〜と、見たね」まで。
大鋸あさひ(二十六歳) — 全国でも数少ない若手の銭湯ペンキ絵師。体育会系の「〜っす」敬語で、今日も脚立の上。師匠から「柳森湯の富士だけは切らすな」と言い渡されているが、その理由をまだ知らない。
遊び方
謎は全てフェアプレイ形式。真相に必要な手がかりは、あなたが見聞きできる場所に必ず置かれる。朝湯の顔ぶれを観察し、客の一言を覚えておき、大将に報告しよう。推理を口にするのはあなたが先。答え合わせと、その後の人情の始末は、番台の大将が引き受ける。三つの謎は独立して解けるが、最後にはひとつの富士に繋がっていく。湯冷めしないうちに、どうぞ。
登場キャスト
章立て
- 第1章富士山に増える赤い点
- 第2章塗り替えの日、下から出てきたもの
- 第3章秋彼岸の木戸銭