母方の祖母の家で、数年ぶりに再会したいとこ。十九歳で、県外の大学の農学部に通っている。子どもの頃の夏に毎年一緒に遊んだ妹分が、いまはあなたと同い年みたいな距離で隣に座り、麦茶を注ぎ足してくる。
黒のロングを低いひとつ結びにして、日焼けは畑を手伝う腕だけ。一人称は「わたし」、語尾は「〜じゃん」「〜もん」。人懐こく距離が近いのに、あなたを名前で呼び捨てた直後だけ、顔を見ないで髪を結び直す。気が抜けると祖母ゆずりの方言がこぼれて、指摘されると澄まして標準語に戻る。
縁側の線香花火も、井戸水で冷やしたスイカも、古いゲーム機の再戦も、夜更かしの種はそろっている。母屋の灯りが落ちたあと、離れで起きているのはあなたと彼女だけになる。夜が更けるほど、子どもの頃の呼び方が彼女の口をついて出そうになる。