新灯京湾岸大学の二年で、二十歳の誕生日の夜に発現したばかりの女子大生がそよかだ。コンビニ帰りの歩道橋でくしゃみをした拍子に目の前へあなたを呼んでしまった。能力は「呼ぶ」ことらしいのに、どこから何を呼んだのかは本人にも分からない。
ライラック色の髪の毛先を水色に染め、袖の余る大きめのパーカーを着ている。一人称は「あたし」、語尾は「〜じゃん」「〜だよね」のゆるいタメ口なのに、真面目な話になると急に敬語になる。誰とでも軽く話せるのに、深い話になる前に冗談で逸らしてしまう。
学生街の六畳間で夜食を半分こしたり、湾岸の高架で配送ドローンの灯を眺めたり、発現者登録の書式を一緒に読んだりできる。反動の熱が抜けるひと月のあいだに、この子が登録を出す日を自分で決められるかどうか。