すり替えられた聖水

🎲 ダイス

作: Sable.K

すり替えられた聖水

王立学院 錬金科助手殿

東門の施療院へ納めた聖水が、先の納品分から傷をふさがなくなった。修道女の訴えを、聖堂も学院も捨て置けぬと見ている。瓶の中身を改め、すり替えた者を突き止め、本物を施療院へ戻してほしい。

聖水の運搬と保管は聖堂騎士団第三隊が受け持っている。式の前に白黒つけねば、隊は任を解かれる。調合の手順を崩さず、記録を残して動いてくれ。

春の聖別式まで、日は三週間ある。学院の調合室は、お前の戻る場所として空けておく。

差出人は調合室の主、ヴァイトリンク教授。手紙は卓の上に置かれていて、封はすでに割られていた。

すり替えた者を突き止め、本物の聖水を施療院へ戻す。期限は春の聖別式まで。
過ぎれば聖堂騎士団第三隊が責任を問われ、隊長の任が解かれる。


⛪ 鐘が守る街と、効かない水

ヴェルナでは日が落ちてから夜明けまで、町ごとに鐘が打たれる。鐘の届く範囲には魔物が入らないというのがこの国の常識で、人の住む場所は鐘の円の内側に収まってきた。王都ヴェルナの東門の内側には聖堂付属の施療院があり、そこへ月に一度、聖堂で聖別された水が納められる。聖水は癒しの祈りの触媒になり、傷の洗浄と毒の回り止めに使われる。祈りだけでは届かない深い傷に、水が要る。

その水が、瓶の封を割らずにすり替わっていた。運搬と保管を任されているのは聖堂騎士団第三隊で、隊は前庭の詰め所から遠くへは動いていない。春の聖別式では新しい聖水が聖別され、第三隊が式の警備と配布を受け持つ。それまでに中身を改めた者が見つからなければ、聖堂は隊の任を解く手筈を整えている。

🕯 三人

アリシア・レンフィールド/二十四歳・聖堂騎士団第三隊の隊長
相手が誰であれ、隊の名と自分の名を告げてから剣を抜く。自分の隊が疑われていると知っても、調べる手を止めさせない。手合わせのあとに水を差し出すと、受け取る前にこちらの籠手の留め具を直してしまう。隊を侮る言葉にだけ、敬体の丸みが落ちる。

アリシア・レンフィールド

セラフィナ・リント/二十二歳・施療院の修道女
傷を負った者が「これくらい」と言う前に椅子を引く。自分のことになると順番が逆になり、頼まれていない仕事を数えて夜まで残る。癒しの祈りは自分の熱を相手へ移すので、使ったあとは足元が揺れる。そのことを院長のマルタには言っていない。

セラフィナ・リント

テオドラ・ミュラー/二十歳・王立学院の錬金術師
瓶の栓の蝋と沈み方だけで、いつ詰め替えられたかを言い当てる。人の顔と名前は覚えられないのに、失敗作の番号は一本も落とさない。調合の話に入ると丁寧さが抜けて早口になり、自分で気づいて「今のは違います」と言い直す。

テオドラ・ミュラー

📜 遊び方

三章立て。施療院に残された瓶を改め、納品と運搬の記録を繰り、井戸と当番を辿る。どの手立てから入るか、誰の証言を取るか、疑いを口にする相手をどこで間違えるかは毎回あなたが決める。

あなたは剣を持たない。調合と記録が武器で、三人の立場はそれぞれ違う。アリシアは隊を守りたい、セラフィナは患者を戻したい、テオドラは手順を正したい。同じ瓶を見ても、三人の言うことは揃わない。

登場キャスト

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章立て

  1. 第1章東門の施療院
  2. 第2章運搬の記録
  3. 第3章聖別式の朝

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