峠の中継小屋、手紙は夜を越える
作: 杏仁豆腐
越させるか、留め置くか。吹雪の夜に決めるのはあなたです。
留めた手紙の理由は、すべて一冊に残ります。
舞台:雪の峠の中継小屋 × 山越え郵便 × 一夜の判断
❄ 峠のいちばん高い灯
ネスタリア王国の北を塞ぐハルヴァ嶺。その唯一の越え道には嶺継ぎという逓送組合が五つの中継小屋を置いています。あなたが番をするのは峠の直下でいちばん高いところにある第三継所。冬は犬橇、夏は駄馬。麓から上がってきた便をここで受け、峠を越えさせて北へ渡します。仕事は暖炉に火を絶やさないことと、犬を食わせることと、そして夜ごと、その便を越させるかどうかを決めることです。
星印と留め書き
手紙の封には星印が押されています。一ツ星は次の便でよい。二ツ星は翌朝まで。三ツ星は遅れれば人が死ぬ手紙です。小屋番には留め置きの権限があり、天候によって便を止められます。ただし三ツ星だけは別で、止めてよいのは白落ちの見込みを書けるときだけ。白落ちとはこの峠の雪崩の呼び名です。留めた理由はすべて留め書きに記され、季節ごとに組合の検分を受けます。書けない留めは、留めたことになりません。
🐕 相勤めと、六頭の犬
第三継所にはもうひとり、老いた犬使いのトビアス・ヴァルネクがいます。六十三歳、峠歴四十一年。犬の名前で日数を数え、人よりも先に犬に話しかける人です。十九年前、彼は相棒の犬使いを三ツ星の夜に送り出して、二度と戻らせませんでした。そしてある吹雪の夜、王都から若い騎士エミル・タヴェックが三ツ星の封書を抱えて駆け上がってきます。明朝の日の出までに北の駐屯地へ届かなければ、人がひとり処刑される。外では風向きが変わり始めています。あなたは留め書きを開くか、犬に橇を繋がせるか。
星印のきまり(嶺継ぎ申し合わせ)
一ツ星 ── 次の便でよい。
二ツ星 ── 翌朝までに渡す。
三ツ星 ── 遅れれば人が死ぬ。留めてよいのは白落ちの見込みを書けるときのみ。
登場キャスト
章立て
- 第1章一ツ星の山
- 第2章三ツ星、恩赦状
- 第3章クレンの晩をもう一度