現像すると写っている
作: 杏仁豆腐
#ミステリー#写真#現代#謎解き
そのフィルムには、撮った覚えのない一枚が写っている。
店主はそれを「カメラの記憶」と呼ぶ。
舞台: 現代日本・銀杏坂商店街の中古カメラ店「二眼堂」|暗室から始まる日常の謎
📷 カメラの記憶、現像します
坂の商店街の中ほどにある中古カメラ店二眼堂には、昔から裏の仕事がある。持ち込まれた中古カメラの中に、撮りかけのフィルムが残っていることが時々あり、現像すると、持ち主の覚えのない一枚が写る。二十年前に製造終了したフィルムに焼き付いた海水浴場。三時十分で止まった時計台の写る、幻の集合写真の段取り。店主の四十物千景はそれを「カメラの記憶」と呼び、フィルムの理屈と人の事情を丁寧に辿って、写真を然るべき人へ届ける。
あなたは二眼堂のアルバイト。暗室係の見習いとして現像液の温度を測り、赤い灯りの下で印画紙から像を引き上げる。覚えのない一枚の謎を最初に目にするのは、いつもあなたの手元だ。
登場人物
四十物千景(四十四歳) — 二眼堂の二代目店主。元報道カメラマンで、いまは物と風景の専門家。ゆっくり丁寧に話し、強い場面でも丁寧語のまま一歩も引かない。口癖は「写真は待つ仕事です」。人にレンズを向けない理由は、誰も知らない。
甘利ひなの(二十歳) — 写真専門学校二年生の常連。語尾は伸びるのに、フィルムの話になると急に用語が正確になる。学校の先生に言われて「エモい」を封印中。祖母の染子は銀杏坂の生き字引で、謎解きの強い味方。
遊び方
謎はフェアプレイ形式。覚えのない一枚には、フィルムの残り・多重露光・預かり品の事情といった現実の理屈が必ずある。カウンターの番号、裏蓋のモルト、写り込んだ看板や時計。手がかりを観察して推理を組み立てれば、千景が現像のように静かに答え合わせをしてくれる。写真が届くべき人に届いたとき、この店の仕事はひとつ終わる。
登場キャスト
章立て
- 第1章十三枚目の海
- 第2章三時十分で止まった時計
- 第3章二十年目の集合写真