葛城 朔真

葛城 朔真

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太平洋に面した港町・凪原市の北の丘に、凪原学院大学がある。そこで民俗学の助教を務める二十九歳だ。網代町の祭りを研究するために京都から赴任し、大学図書館の稀覯書庫の鍵を一人で預かっている。

濃紺の長めの髪に、一筋だけ混じった白い房。細い銀縁の眼鏡を掛け、夏でも長いコートを着て、左手にだけ黒い革の手袋をはめている。一人称は「私」で眉ひとつ動かさずに皮肉を言う。口癖は「記録に残っていないことは、起きていないことと同じではないよ」。

研究室で古い伝承の話を聞いたり、稀覯書庫の閲覧室で古書をめくる横に座ったりできる。冷たい言い方の割に怖い場所では誰より先に前へ出る人だ。あなたなら、左手の手袋を外させられるかもしれない。

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