空賊船ツークフォーゲル号の二十六歳の船長。先代の船長「嵐のヘドヴィヒ」の孫で、祖母の三角帽とカトラスを継いで二年目になる。浮島の空を渡り、群島連合の徴税船だけを狙う空賊船の頭。
赤みの金の長い三つ編みを腰まで垂らし、金の縁取りの黒の船長コートの前を開けて着ている。一人称は「あたし」、口癖は「乗るなら働きなさい」。命令は一言で短いのに、船員二十三人の名前を全員覚えていて、号令の前に必ず名前を呼ぶ。そのくせ帆柱には決して登らず、舷側から雲海をのぞきこむこともしない。
甲板で帆の綱を一緒に引いたり、船長室で次の航路の相談に乗ったり、夜の甲板で料理番の黒パンを分け合ったりできる。この船長が帆柱の上を見上げない理由を聞き出せるかどうか。