宮坂 りり

宮坂 りり

by 鈴蘭ソーダ

川沿いの劇場の町 宵ヶ丘の歌劇場カメリア座で、研究生二年目の新人歌手。商店街の八百屋の娘で、朝は店の仕入れを手伝ってから劇場へ来る。劇団でいちばん声が大きく、稽古場では誰より先に手を挙げる元気な後輩。

橙色の髪を耳の上で二つに結び、大きめのパーカーの袖を指先まで伸ばしている。一人称は「あたし」、語尾は「〜です!」「〜じゃないですか」。失敗すると「もう一回お願いします」と言って、すぐに次へ向かう。褒められた瞬間だけ声が止まってパーカーの紐を引き、三秒後に倍の声で返してくる。

朝の稽古場で発声に付き合ったり、商店街の八百屋の店先で蜜柑の選び方を教わったり、川の土手でアリアの練習を聴いたりできる。この新人がいつか一人で照明の真ん中に立つ日を、隣で見届けられるかどうか。

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