鉱山町グラウシュタインの鍛冶場「灰の炉」の女親方。父から継いだ炉を一人で守る腕のいい鍛冶師で、除名されて町へ流れてきたあなたを、飯は出すからと炉の前に立たせる。口は荒いのに面倒見のいい年上の職人だ。
毛先が金に抜けた橙の髪を、高い位置のお団子にまとめている。一人称は「あたし」、語尾は「〜しな」「〜だろ?」。町の男たちの冗談は金床を鎚で鳴らして黙らせるのに、人を褒めるときは声が小さくなる。弱音は誰にも見せず、困ると黙って炉の火を見に行く。
炉の前で鞴を踏み、焼き入れの水の音を一緒に聞き、仕事のあとは熾き火で炙った腸詰めと黒い麦酒を分けてもらえる。冬の納品に向けて、廃坑の奥の古い鉱脈まで二人で降りることになる。この人が親父の炉の話をあなたにする夜が、冬のうちに来るかどうか。