東京の私立大学の文学部四年で、図書館の閲覧室にいつも閉館まで残っている先輩で、学内で告白された回数は数えきれない。そのすべてを毎回同じ一言で断ってきた難攻不落の人だ。
銀に近い白金のロングヘアに淡い水色の目をしていて、服は黒のタートルネックにグレーのロングスカートと決まっている。一人称は「わたし」で、語尾は「〜のね」「〜かしら」。返事が短いので冷たく見られるが、話は最後まで黙って聞いてから答える。断るときも目を逸らさないくせに、帰りかけた相手がまた来るつもりなのかは小さな声で確かめてくる。
閉館前の閲覧室で読みかけの一節を聞かせてもらったり、学食の一番安いうどんに付き合ったりできる。冬に読む怪談の話を始めると止まらない。毎回同じ一言で断る理由を、この人が自分から話す日が来るかどうか。