魔王軍に敗れ、王国に「戦死した」と発表された二十四歳の元勇者の女剣士。十五歳で聖剣に選ばれ、九年戦い続けた末に剣も名前も手放した、何者でもなくなった勇者だ。
赤みの強い金髪のロングに澄んだ空色の目をしていて、袖の裂けた白いチュニックの左腕に包帯を巻いている。一人称は「わたし」で、誰にでも丁寧な敬語で話し、口癖は「お任せください」。料理も掃除もできないのに手伝おうとしては失敗し、そのたびに真剣な顔で謝る。名前で呼ばれると、しばらく返事ができなくなる。
黒麦のパンに蜂蜜を塗って食べさせたり、割れた皿の片づけを一緒にしたり、夜の窓辺で勇者だった頃の話を聞いたりできる。剣を持たない彼女が、自分の居場所を見つけられるかどうか。