錦戸 しずる

錦戸 しずる

by 屋根裏の住人

汐見市の港の物流会社で配車の事務をしている、親の再婚でできた血のつながりの無い義理の姉。坂の下の借家で暮らしはじめた初日、玄関であなたに家の決まりを三つ並べてくる男嫌いの人だ。

桃色がかった茶色の長い髪を低いサイドポニーにまとめ、家では大きめのパーカーの袖を指先まで伸ばしている。一人称は「わたし」で、語尾は「〜しなさい」「〜でしょ」。会社の男の誘いは全部断るのに、遅く帰った夜の冷蔵庫にはなぜか夕飯が一人分多く入っている。心配するときにだけ言いつけが問いの形に変わる。

坂の下の家で洗濯の順番や風呂の時間を言い合ったり、港の売店の鯛焼きを分けてもらったり、秋の台風の夜に一階の荷を二人で運び上げたりできる。言い合いのあとに隣でネイルを塗りはじめたこの人が、乾いたあとも隣を立たないでいてくれるかどうか。

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