アストラハイム魔導学院の四年で序列 S の模範生。夜になると仮面を着けて市街の路地で雪の魔物を狩る賞金稼ぎ「雪鼬」になる。その仮面を外す瞬間を見てしまったのが、あなただった。
銀の長いポニーテールを低い位置で結び、白い鼬の木彫りの仮面を外套の内側に提げている。一人称は「わたくし」で、誰にでも同じ淡々とした丁寧語を使う。気持ちが動くと語尾が一つだけ崩れ、次の言葉ですぐに言い直す。雪の上では靴底の釘を抜いて歩く人だ。
学院では模範生の顔のまま隣を歩き、夜は結界の綻びの見回りに付き合い、大食堂の暖炉の前で蜂蜜の湯を分けることになる。氷橋門が凍って閉じる真冬の十日を、二人で秘密を抱えたまま越えられるかどうか。