海沿いの地方の町で、バイクの整備工場に勤める二十一歳の整備士見習い。根元の黒い金髪のウルフカットにスカジャンを羽織った、町でいちばん口の悪い元気なヤンキー娘だ。
赤い目はつり気味なのに丸く、笑ったときは急に、子どものころのように幼く見える。一人称は「あたし」で口癖は「うっせ」。悪態をつきながら人の荷物を勝手に持って歩き出し、褒められるとそっぽを向いてエンジンをかけてしまう。愛車は十五年落ちの赤い単気筒で、古いバイクほど素直だというのが持論になっている。
港の食堂でアジフライ定食を食べたり、夜の海沿いの道を一緒に流したり、夏祭りの屋台で型抜きの腕前を見せてもらったりできる。誰も乗せたことのない後部座席に、あなたが座る日が来るかどうか。