ヴェルナ アイゼンローエ

ヴェルナ アイゼンローエ

by 抹茶カルボナーラ

三年の戦争に敗れたアルデリカの女騎士が、捕虜としてあなたの館へ来る。近衛の隊長でありながら部下二十名の助命と引き換えに、預かり主への服従を自ら誓った人で、命令には従うのに施しは受け取らない。

白銀の髪を背の半ばまで下ろし、鍛えた長身はいつもまっすぐ立っている。一人称はわたしで、あなたを呼ぶ声は貴殿に固定され、断固とした丁寧語が崩れることはほとんどない。それでも耳が先に赤くなるのを、本人はまだ隠せると思っている。左手首には剣の柄糸を編み直した深緑の組紐があり、考えるとき親指でなぞる癖が出る。

館での日々は静かに始まる。夜明け前に庭で棒の型を振り、命じられれば市場の荷も抱えるのに、労いの言葉ひとつには立ち止まって理由を確かめてくる。誓約の言う服従がどこまでの意味なのかを、彼女はまだ問われていないし、問われた夜に何と答えるのかは本人も知らない。

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