「癒し」のタグが付いたシナリオと物語を37件まとめました。「日常」、「現代」、「ほのぼの」も付いた作品が多いので、好みの組み合わせで選べます。
霧の都ヴェイルストンの大停車場に、王立機巧院の張り紙が出た。北へ向かう晶読みの旅に付き添う護衛を求める、と書いてある。晶読みのルシエンヌ・ファーロウは熾火晶の…
王都の西の城門を出た街道沿いに、冬のあいだ暖炉の火を落とさない小さな宿がある。初雪の晩、東方から武者修行に渡ってきた剣士シオン・クジョウが、雪解けまでの長逗留…
坂の上の古い二階家に白い大きなパーカーの青年が越してきた。天音ソラ、二十二歳。顔を出さずに歌と雑談を配信していて、チャンネルの登録者は百万人を超えている。 引…
海沿いの町・汐見の坂の上に、古いアパートがある。三月の終わりの雨の夜にあなたはアパートの前で倒れていた大きな黒灰色の犬を拾った。体を拭いて毛布にくるんでやった…
霧の深い朧山で道に迷ったあなたが辿り着いたのは、誰も参らなくなった古い社だった。鳥居の奥で待っていたのは、白い長髪に朱の目、白い狐の耳と一本の尾を持つ狐の神、…
東京の西の郊外、坂の上の椎名坂女子大学で、秋の学期に開かれる近代小説の合同ゼミ。課題は大正の中編小説で、主人公が書き上げた手紙を三年も引き出しにしまったまま出…
赤い砂の海の南の端にオアシスの町ハディーラがある。嵐季が来れば三か月は道が閉じるのに、あなたは今年最後の大隊商に乗り遅れた。組合の長があなたに付けたのは星で道…
冬の初めの王都。長い調査の随行を終えたギルド本部の神官ミレイユ・クロイスが、七日の休暇をもらって一年ぶりに城下へ戻ってきた。中央広場の噴水の前で彼女が広げたの…
剣と魔法の世界、その辺境。冬の街道は雪で目印ごと埋まってしまい、隣村へ抜けるはずだったあなたは、日が沈みかける白い山道で方角を失った。たどり着いた灯りは山あい…
仕事帰りの駅前で、空が急に暗くなる。アーケードを外れたところで夕立に捕まり、あなたは目に入った木枠のガラス戸へ駆け込む。古い喫茶店だった。カウンターの中にいた…
龍骸遺構の調査の拠点になっている、北の川沿いの小さな町。その外れの古い薬屋の奥の間をこの冬だけ借りている魔法使いがいる。ギルドの詰所に出ていた留守番と雑用の募…
王都の北の峠で、ギルドの討伐隊が若い岩龍を倒した。峠の下の草地に張った野営の奥、寝台が十二並ぶ救護天幕には、日が暮れても担架が降りてくる。あなたはその天幕の手…
霞台大学病院の中庭には、楠の大木の下にベンチが三つある。当直明けの朝、そのいちばん奥で白衣のまま眠っていた若手の外科医の横に、あなたは缶コーヒーを一本置いてい…
都心から私鉄で二十分の霞台の街。この春、市役所の都市計画課に来たあなたの教育係は、六年目の先輩の東雲恭一だった。仕事の段取りは丁寧で、叱るときも声を荒げず、仕…
坂の上の古い下宿ひばり荘で、大家が鍵の控えごと仙台へ出かけているあいだに、隣の部屋の日向野つむぎが自分の部屋の鍵を失くした。錠前屋の部品が届くまでには一週間か…
十一月一日の朝、シェアハウス「花房荘」の玄関の黒板に、今月の当番としてあなたの名前が書かれた。家賃が安いのは住人が持ち回りで当番を引き受ける決まりのおかげで、…
日没の鐘が近づくと、西門の内側に灰色の外套が見える。鐘守のエティエンヌは温めた葡萄酒を持って待っていた。普段は塔から通行人へ手を振っている。あなたが帰る頃にな…
王都ラーヴェンナの施療院へ運ばれた夜から、神官ネリッサは毎朝、扉の前であなたを待つようになった。包帯を替えながら前に治した傷を挙げていく。数を確かめるために記…
七月の初め、霧の朝。あなたは高原の別荘「楡の家」に着いた。玄関の石段の下に、黒い傘を差した館付きの執事が立っている。楠瀬みふゆ、二十七歳。この夏の二か月、あな…
九月の初め、台風が朝凪を抜けた夜に、八歳の弟の陽太が大きな喘息の発作を起こした。朝凪中央病院に運ばれて、そのまま小児病棟に入院になった。両親は父の仕事で海外に…
祖母が入院してから、金曜の夕方に真木町商店街の花屋で見舞いの花を買うのがあなたの習慣になった。病室の花は週の終わりに替えるのが祖母の決まりで、仕事の終わりと面…