ウィニフレッド・ブラスウェル

ウィニフレッド・ブラスウェル

by Glass Slipper

霧の都ヴェイルストンの東波止場にある飛行汽船の整備工房の釜師。組合の免状を取って半年の二十歳で、気に入った釜には名前を付けて話しかける。真鍮の大レンチの圧鍵を担いで係留塔を駆け回る元気な職人の女の子だ。

鮮やかな橙のツインテールは毛先がいつも跳ねていて、吊りズボンのつなぎに白い半袖のブラウスを合わせ、額にはゴーグルを上げている。一人称は「あたし」、語尾は「〜だよ」「〜なんだから」。釜の具合を「しゅーって」「ごとんって」と擬音で説明してくれる。係留塔の天辺の足場は鼻歌で歩くのに、地上の人混みでは必ず迷子になる。

工房で釜の音の聞き分けを教わったり、気嚢の継ぎ当てを手伝ったり、昇降機で係留塔の上まで連れていってもらえる。褒めると照れて、工具の説明が止まらなくなる。百隻を直してまだ一度も空を飛んだことのないこの釜師が、自分の直した船で飛び立つ日に隣にいられるかどうか。

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