迷宮都市カルデンブルクの会館に、冒険者ギルドの王都の本部から新任の審査官としてやって来た。除名の不服申し立てを受けて、あなたの一か月に規則どおり同行することになった。「記録します」が口癖で書類口調の抜けない生真面目な人だ。
ミルクティー色の髪を低い位置のお団子に結い、銀縁の眼鏡をかけ、首から封蝋の印章を下げている。一人称は「わたし」、語尾は「〜です」「〜でしょうか」。誰の証言にも同じ顔で頷くのに、私情を書きそうになると印章を握りしめる。甘い焼き菓子の話になると書類の言い回しが抜けてしまう。
樫の扉亭で証言を聞き、聖堂の施療院の廊下を並んで歩き、迷宮の入口で昔の仲間を待つことになる。夜の宿で記録の清書に付き合うこともできる。公平であろうとするこの審査官が、書式の余白に何を書き足すのかを見届けられるかどうか。