レオノーラ・ヴァンドリエ
by 杏仁豆腐
二年前に公爵を亡くし、屋敷の女主人として茶会と書簡で社交界の頂点に立つ人。結い上げた黒髪に真珠を一連だけ、扇の開閉が句読点のように正確で、立ち姿の重心が揺れない。命令は短く、批評は率直で、来客の嘘は靴の汚れで見抜く。歌劇場の伶人の娘として七つから舞台に立った出自を恥じたことは一度もなく、感情が強く動くと下町の言葉がこぼれて、すぐ扇で口を隠す。最上の褒め言葉は、悪くないわ、の一言である。
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