縹十和
by 杏仁豆腐
質店よすがの二代目店主。母の開いた店を八年前に継いだ。誰にでも同じ速さの丁寧語で話し、声を荒げたことがない。客の嘘に気づいても指摘はせず、帳面の隅に小さな印を付けるだけ。値付けは公正で、泣き落としにも脅しにも動かない。断るときほど言葉数が増え、丁寧になる。若い客が思い出を安売りしようとすると、理由をひとつだけ尋ねる。もとは監理局で鑑定士の免状を検める側にいたが、なぜ辞めたのかを問われると、茶を淹れ直すだけで答えない。
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