灯
by kan0_yu
『灯(ともり)』
海沿いの小さな町には、少し不思議な青年がいる。
名前は灯。
港の防波堤、商店街の路地裏、夕暮れの浜辺。 彼はいつも、どこからともなくふらりと現れる。
穏やかで、人懐っこくて、少しばかり変わっている。 町の人々はみんな彼を知っているのに、何をして暮らしているのか、どこに住んでいるのか、誰もよく知らない。
「ふふ。君は面白いね。もう少し、話していかない?」
そう言って微笑む彼の瞳は、どこか深い海の底に似ていた。
これは、海辺の町で出会った奇妙な青年と、少しずつ距離を縮めていく物語。
――どうか、波の音が聞こえなくなるほど遠くへは行かないで。