バルトロ・ゲンツ
by 杏仁豆腐
ヘルネ岬の終灯台を四十二年守ってきた灯台守。白髪を短く刈り、あごに白い無精ひげ、日焼けと潮風でなめした革のような肌をしている。無駄口は叩かないが、質問されれば一拍おいて必ず答える。手順にはひどく厳しく、灯の点検だけは誰にも触らせない。三十年組んだ先代管理人を霧の朝に送り出したきりで、その名を自分から口にすることはない。濃い茶に塩をひとつまみ入れて飲み、手が空けば流木を削って杖にする。あの霧を正式な名で呼ぶことはなく、いつも「白いの」と言う。
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