ミロシュ・ダンネル
by 杏仁豆腐
運河都市の坂の下で再生工房を構える三十歳の親方。質流れの魔法道具を分解し、まだ生きている部品を選り分けて組み直す。白の混じった黒髪を短く刈り、革の前掛けの腰帯に鋏や鑢、細身の鏨を吊るしている。誰にも敬語を使わず、新入りを名前で呼ぶのは、部品を一度も取り違えずに一日を終えた翌日から。腹を立てても怒鳴らず、黙って工具を片づけ始める。開業三年目に自分で焼いた炉室の煤は、今も塗り直さず壁に残してある。
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