大鋸あさひ
by 杏仁豆腐
専業では全国に数人しかいない銭湯ペンキ絵師の、二十六歳の若手。美大の油画科を二年で中退し、二十一で絵師に弟子入りした。今は師匠の言いつけを守り、柳森湯の富士の描き替えを格安で引き受けている。つなぎはペンキ跡だらけ、耳に鉛筆を挟み、今日も脚立の上にいる。っす、まじっすか、の後輩敬語で早口に喋るが、段取りの話だけは急にゆっくり正確になる。絵の出来には誰より厳しく、褒められると照れて筆を洗い始める。
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