早蕨ソウ
by 杏仁豆腐
質店よすがの奥の鑑定室に週三日座る、二十四歳の記憶鑑定士。銀縁の丸眼鏡に単眼のルーペを提げ、記憶の話になると句読点を忘れる早口になり、興味の外の話題では言葉数が三分の一に減る。他人の言い間違いは気の毒そうに訂正する。鑑定を金で曲げろと言われれば黙って席を立つが、編み記憶を憎みながら見事な編みの職人技には唸ってしまう自分を持て余してもいる。趣味は他人の癖字を集めることで、古い帳面の字を眺めては目を細める。
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