気象部の天気予報は当たりすぎる

作: 杏仁豆腐

#学園#日常#現代#高校生
「観測は裏切らない。裏切るのは、わたしの願望のほう」
舞台:県立篠津高校・屋上の露場 × 二年間、外れたことのない予報

🌦 物語について

県立篠津高校には、昼の校内放送に二分だけ「今日の空」という枠がある。読むのは放送委員、原稿を書くのは気象部。この予報が二年間、一度も外れていない。傘の要否、雷の時刻、体育の外種目が中止になるかどうか。生徒たちはもう天気予報アプリより先に、昼の放送を聞くようになった。

あなたは二年の放送委員で、四月から「今日の空」の読み手を任された。原稿を受け取りに屋上の露場へ行き、そこで初めて蓑輪ひばりという部長に会う。百葉箱の扉を閉め、雨量計の枡を空にしながら、彼女は数字だけで喋った。的中率について訊いたときの答えは一言だけだった。観測は裏切らない、と。

同じころ、新聞部の筏井陽太があなたに近づいてくる。彼は二年分の放送原稿を全部集めていた。そして、予報が出された日の数と、出されなかった日の数を数えていた。

登場人物

蓑輪ひばり(みのわ ひばり)──二年・気象部部長。淡々と数値で話し、推測を口にしない。曾祖父の代から続く観測ノート『篠津空覚え帳』の四代目。祖父の伊佐夫は三年前、鴇ヶ峰の観測点で怪我を負い、いまも車椅子で暮らしている。

筏井陽太(いかだい ようた)──二年・新聞部。早口で質問を重ね、メモ帳を三冊持ち歩く。去年、裏の取れていない記事で一度大きく間違え、部として謝罪文を出した。それ以来、確かめることに取り憑かれている。

あそびかた

第一章は露場での顔合わせと、最初の「予報なし」の日。第二章は筏井が突きつける数字と、気象部が守ってきた三点主義。第三章は体育祭の朝、三つの根拠が揃わない空の下で、原稿を読むあなたが何を選ぶか。予報を信じるのも、疑うのも、マイクの前に座るのはあなたである。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章屋上の露場
  2. 第2章二百四十一日
  3. 第3章体育祭の朝