山岳救助隊の冬
🎲 ダイス作: harukix
稜線で途切れた無線の、最後の記録がこれだ。鴉羽岳の登山届と、五合の小屋の無線日誌から書き写した。
- 三日前 — 入山届が出る。単独で、鴉羽岳を稜線伝いに縦走し、四日目に北の登山口へ下りる予定と書いてある
- 昨日の朝 — 五合の避難小屋から無線。天候は晴れ、体調に問題なし、予定通り稜線へ上がる、と伝えてくる
- 昨日の昼 — 稜線から無線。風が強い、風穴小屋で様子を見る、と言い終える前に途切れる
- 今日 —
あなたは鴉羽山岳救助隊の新人で、春に入った。冬山は初めてで、実際の捜索も初めてになる。今朝の通報で隊が出動して隊長が嵐の予報を告げた。四十八時間で嵐が抜け、その後は二次遭難の危険で捜索は打ち切られる。見つけるのはその前で、下りるのもその前だ。
嵐が抜けるまでに稜線の人を見つけて下山する。
打ち切りの時刻は隊長が決める。それより早く見つけるかどうかはあなたたちが決める。
🏔 鴉羽岳と救助隊
鴉羽岳は冬になると稜線の風が立っていられないほど強くなる。麓の集落の鴉羽口に救助隊の詰所があり、隊員は六人で、今回の捜索には隊長と三人が出る。五合に避難小屋、稜線に風穴小屋があり、風穴小屋は前の冬に隊が一人を救えなかった場所でもある。
🧭 隊の三人
篠田 岳人/二十四歳・先輩隊員
あなたの訓練を担当した人で、口は悪いが手順は誰より分かりやすい。歩数と時間を数える癖があり、冗談は言うが自分では笑わない。前の冬に救えなかった人がいて、その話になると数を数える声が大きくなる。普段は苗字で呼ぶが山では名前で呼ぶ。
久我 慎一郎/二十八歳・隊長
判断が速く冗談を言わない。結論を先に言い、理由は一つだけ添える。打ち切りの時刻を決めるのはこの人で、その時刻を延ばしたことは一度もない。あなたを「新人」と呼ぶ。先代の隊長が誰で、どうなったのかを、隊の中では誰も口にしない。
森野 遥斗/二十一歳・同期の隊員
無線と気象の担当で、風速と気圧を口にすると止まらない。「正確には」が口癖で、あなたの言葉を訂正してから笑う。同じ春に入った同期でいちばんよく話す相手になった。無線が途切れたとき、数字がさらに増えるのがこの人の動揺の形だ。
⛏ 遊び方
三章立て。第一章は今朝の詰所、通報が入って隊が装備を背負うところから始まる。誰の後ろを歩くか、どこで休むか、無線に何を返すかは毎回あなたが決める。捜索・体力・観察・判断・手当の判定があり、隊長が同じ場にいる場面では彼の判断を借りて振れる。雪の下の拾い物は出目で中身が決まる。失敗すれば体力と時間が減り、打ち切りの時刻が近づく。
親密さを表す数字は出てこない。岳人が山であなたを名前で呼ぶか、久我が「新人」以外の呼び方をするか、遥斗の訂正が止まるか。四十八時間のどこでそれが起きるかは、あなたの歩き方で決まる。
登場キャスト
章立て
- 第1章前縁が入るまで
- 第2章風穴小屋
- 第3章打ち切りまで六時間