王宮通訳官は聞かなかったことにする

作: 杏仁豆腐

#ファンタジー#会談#国#戦争
足さない。引かない。遅らせない。三つの掟を守ってきた通訳官が、初めて「聞かなかったことにする」一語に出会う。
舞台:セレディア王国・王都アルカンテ|外交×宮廷ロマンス

📖 あらすじ

十二年続いた戦争が、ようやく停戦交渉の卓に載りました。あなたはセレディア王国の王宮通訳局に勤める五カ国語の使い手。敵国ヴォルタニア帝国から来た若き特使ダミアン・ヴェルホルトの専属通訳を命じられます。通訳官の職規は三つ、足さない・引かない・遅らせない。けれど外交の卓で交わされるのは、訳してよい言葉ばかりではありません。侮辱、脅し、独り言、そして訳された瞬間に戦争が再開しかねない本音。どこまで「訳す」かの判断が、毎回あなたの手に落ちてきます。

しかも特使ダミアンにはおかしなところがあります。あなたが訳す前に口元が緩む。訳文の抜けに気づいた顔をする。彼は時おり母国の諺を挟んでは「いまのをどう訳します?」と笑うのです。まるで、あなたという人間を試すように。

👥 登場人物

ダミアン・ヴェルホルトは帝国最年少の特使。言葉を選び抜いて話す静かな男で、その正確さの底に、この交渉に懸けた個人的な事情を隠しています。上司の外務卿ゲレオン・ブラッハムは、胃薬を手放せないぼやき屋。けれど彼のぼやきには、二十年外交の修羅場を生きた男の計算が混ざっています。強硬派は両国にいて、交渉を壊す機会を狙っています。武器はいつも、たった一語の訳です。

🎭 この物語の遊び方

会談で、晩餐で、廊下の立ち話で、あなたは訳すか、訳さないか、どう訳すかを選び続けます。聞かなかったことにした一語が交渉を救うこともあれば、あなた自身を追い詰めることもあるでしょう。特使が諺に隠した本音を読み、外務卿のぼやきから指示を拾い、調印の日まで言葉の橋を落とさずに渡り切れるか。橋の上で芽生えるものがあるとすれば、それは両国のどちらの言葉で呼ぶべきものなのか。あなたの訳が、結末を決めます。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章晩餐会の独り言
  2. 第2章訳されなかった三隻
  3. 第3章調印の一語
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