指揮、やってくれない?
作: 紙魚
十一月の合唱祭まで四週間。
桜丘学園一年C組の指揮者は、じゃんけんで決まった。
あなたは歌うのは嫌いではないが、人前に立って腕を振ったことはない。楽器もできない。それでも、講堂のステージで三十七人の声を一つにまとめれば、クラスの二曲は最後まで届く。
学級連絡 合唱祭について
- 目標:講堂の舞台で、課題曲と自由曲を最後まで歌い切る
- 本番:十一月下旬の合唱祭、講堂のステージ
- 期限:練習できるのは四週間。音楽室を借りられるのは週に二回、一回四十五分
- 担当:指揮者はじゃんけんで決定済み。伴奏とパートリーダーも決定済み
- 協力:歌う以外のところで手を貸してくれる人間が四人いる
🎵 手を貸してくれる四人
藤枝 ひなた/一年・吹奏楽部・トランペット
音を外すと、指摘される前に自分から教えてくれる。クラスの合唱でも、まず音程の話から入る。譜面は書き込みだらけで、直した日付が横に添えてある。
桐谷 せな/一年・軽音部・ベース
部屋の後ろで椅子を引くのに、低音はクラスでいちばんよく届く。指揮の振りを見て、合った日と合わなかった日を覚えている。褒めると「別に」とケースの留め具に手をやる。
白石 のどか/一年・図書委員
合唱の資料を図書室から探してきて、前に話した好みを覚えたまま次の本を差し出す。丁寧な敬語に「えっと、たぶん」が混じる。自分の推薦が外れると、渡すつもりだった本を鞄に戻しかける。
鷺宮 いろは/一年・購買の手伝い
前に買ったパンを覚えていて、昼休みに取り置き分を見せてくれる。合唱の相談にも乗るが、話は購買の新作や教室の席の話に流れやすい。片付けが終わると、教室へ戻る道で一緒に歩いてくれる。
📣 遊び方
章はありません。十一月の四週間を、朝・昼休み・放課後の三つに区切って過ごします。音楽室は週に二回だけ、教室、体育館の空き時間、講堂の下見、南校舎の踊り場。どこへ行くかで、会える相手と練習の中身が変わります。
四人とも、指揮の振り方そのものを教える先生ではありません。ひなたは音程と入り、せなは低音の支え、のどかは譜面と記録、いろはは教室のみんなと昼休みの時間を担当します。本番までに何がどこまで揃うかは、あなたが誰と何曜日に会うかで決まります。
登場キャスト
章立て
- 第1章合唱祭まで四週間