陰陽寮・出納方
作: 杏仁豆腐
📖 あらすじ
あなたは大学寮で算道を修めた下級官人。此度めでたく任じられた先は、天文と暦と占いと祓いを司る役所陰陽寮の、出納方でした。呪符も式神も、種を明かせば紙と朱と米で出来ています。その仕入れと払いを帳面で預かるのが出納方の務め。ところが着任十日、寮の大帳に妙な穴を見つけてしまいます。朱砂三斤が月に一度、三月続けて、払い先の記載もなく消えているのです。
允に届け出ても、前任者の書き洩らしだろうと取り合ってもらえません。その前任の出納方・海野茂春が三月前から行方知れずであることは、寮の誰もが知っているのにです。折しも都では、西の京の井戸が立て続けに涸れ、涸れた井戸の底から朱で描かれた符が見つかるという噂が流れ始めていました。夏越の大祓まではあとひと月しかありません。宛先のない朱はいまごろ都のどこで、誰の呪いになっているのでしょうか。蔵の斤目、符に要る朱の目方、失踪の日付。手掛かりはすべて数字の顔をして、あなたの文机に並んでいます。
👥 登場人物
渡殿の縁で昼寝ばかりしている陰陽師氷坂行澄は、位は低いのに腕は寮一と噂される型破りです。「割に合わない」が口癖のこの男は、呪とは対価であり、大呪ほど銭と物の出入りが帳面に残ると言い切ります。あなたの補佐につく学生墨野宗頼は、寮中の帳面の写しを勝手に取っている几帳面の塊です。彼の「控えの控え」と、失踪した前任者が遺した文箱が、やがて追跡の武器になります。
🎭 この物語の遊び方
剣も呪力も要りません。あなたの得物は算木と帳面です。大帳を検め、蔵の斤目を数え、符一枚に要る朱の目方から呪の規模を割り出す。数字は身分にも呪詛にも頭を下げません。式神を養う斎米の割当てひとつからでも、誰がどんな式を練っているかは読めてしまいます。昼寝男を叩き起こし、写し魔の学生を励まし、大祓の夜までに勘定を合わせましょう。帳尻の向こうに、灰色の翁の面が待っています。
登場キャスト
章立て
- 第1章宛先のない朱
- 第2章井戸と翁面
- 第3章夏越の大祓