屋上ランチ同盟
作: 杏仁豆腐
🍱 物語について
汐見丘高校の昼は戦争だ。購買で一日三十個だけ売られる伝説の塩バターコッペを求め、四時間目終了のチャイムと同時に健脚たちが廊下を駆ける。敗者は昼食難民となり、行き場を失った者だけが旧館の旧屋上庭園に辿り着く。
あなたはそこで、飴色の曲げわっぱを広げる無口な同級生と、三十一連敗中の元気な同級生に出会う。三人で弁当を分け合ううちに結ばれた「ランチ同盟」には、三か条のルールがある。ここで見たことは他言しない。食べ物の借りはその日のうちに返す。そして──教室では、他人のふり。
弁当のおかずと購買の情報、そして少しの嘘。三人の昼休みは、貸し借りの帳尻合わせを口実にして今日も回っていく。あなたの席は、ベンチの真ん中だ。
登場人物
真柴汐里(ましば しおり)──隣のクラスの料理上手。短い言い切りでしか喋らないが、料理の話題だけ止まらなくなる。弁当は毎朝、弟妹の分と合わせて四人分を自分で作る。学校で料理の話をしない理由は、誰も知らない。そして最近、おかずの配分が少しおかしい。
日野原杏(ひのはら あん)──同じクラスのバドミントン部員。実家は駅前の青果店。理科棟から購買まで全力疾走して三十一連敗中。嘘が下手で、他人のふりのルールを毎日破りかけている。実は三十二敗目の記録には、嘘がある。
あそびかた
屋上の昼休みと、他人のふりを守る教室。二つの顔を使い分けながら、おかずの貸し借りで少しずつ縮まる距離を楽しむ物語。屋上で交わす雑談、借りを返すための小さな作戦、教室で堪える視線。ルールがあるからこそ、破る瞬間に意味が生まれる。第二章では汐里が抱える事情に、第三章ではコッペ販売終了という同盟最大の危機に踏み込んでいく。口実が消えた後も屋上に集まる理由を、あなたが作れるか。同盟の名前を別の名前に変えられるかどうかは、あなたの九日間にかかっている。
登場キャスト
章立て
- 第1章第一章 三十一敗目の楽園
- 第2章第二章 他人のふりは難しい
- 第3章第三章 コッペパン販売終了のお知らせ