塩湿地に杭を打ち直す

🎲 ダイス

作: harukix

#ファンタジー#師弟#海#男性向け#異世界#辺境#魔女#魔法

フェルバー商会 運び屋殿

白根草の種を三袋、七日のうちにソルネ村の湿地の家までお願いします。代金は着荷のときに家でお渡しする約束です。師匠は留守にしておりますので、用向きは家の者が聞きます。

湿地に入る前に村の桟橋で必ず声をかけてください。潮の匂いが甘くなっていたら、桟橋から先へは入らないでください。

湿地の家 見習い筆頭 エルゼ・トゥルネ

注文書はそれだけだった。届けに来てみると、留守ではなかった。師匠は湿地の奥へ入ったまま帰らず、七日後の冬潮までに村の守護結界を張り直せるのは見習いの二人しか残っていない。同じ日の昼に、教会の査察官が着く。

冬潮の夜までに十三本の杭を結び直し、潮垣を張ること。
張れなければ村は潮と塩の亡者に飲まれる。張れたとしても師匠のいない家は認可を失う。


🌊 杭の上に建つ村

ソルネ村は西の海に面した塩湿地の縁にあり、家はすべて湿地に打った杭の上に建つ。家と家のあいだは板の桟橋で、板の隙間から泥と潮の匂いが上がる。年に一度だけ冬の初めの大潮が湿地を飲みに来る。水だけなら村は高床で凌げるが、潮は湿地の底に沈んだ塩の亡者を連れて上がってくる。三代前の魔女が湿地の縁に杭を打って潮垣を張り、それから毎年、冬潮の前に張り直してきた。

潮垣を張るには、湿地で採れる白根草の根と潮琥珀と塩晶を煮て練った垣土を杭に塗り、魔女の詠唱で結ぶ。材料は泥の中にしかなく、掘れるのは潮の匂いが甘くなる前だけ。あなたは薬草の目利きができる。だから引き留められた。

🕯 湿地の家の三人

エルゼ・トゥルネ/十九歳・見習い筆頭
手順書を開かずに潮直しの手順を全部言える。誰にでも丁寧語で、話が前後すると番号を付けて並べ直す。杭の前で詠唱すると最後の一節だけ声が細くなる。本人は咳のせいだと言う。

エルゼ・トゥルネ

テッサ・ヴァイデン/十七歳・見習い
裸足で泥に入り、白根草の根がどこにあるかを足の裏で当てる。潮琥珀は素手で掘る。手順書を渡すと読むふりをして時間を稼ぎ、声に出して読んでやると一度で覚える。名前を呼び捨てにするのは、一緒に泥に入った日から。

テッサ・ヴァイデン

カタリナ・モーゼル/二十四歳・聖環教会の査察官
認可の検分に来た。記録しておきます、と言うときに限って筆が動かない。桟橋に立つと杭を指で叩き、板の腐った箇所を見もせずに避ける。内陸から来たはずの人の足取りではない。

カタリナ・モーゼル

📜 遊び方

三章立て。泥に入れるのは潮の匂いが甘くなるまでで、どの杭から手をつけるか、誰と泥に入るか、査察官に何を見せるかは毎回あなたが決める。材料が足りなければ杭は結べない。結べなかった杭の数だけ、冬潮の夜に隙間ができる。

ダイスは採取・調合・観察・儀式・説得の五つと、エルゼが隣にいる場面だけ使える詠唱の支援、桟橋の下から何が出るかを決める拾い物の表。好感度を数字で出す仕組みは無い。名前で呼ばれた日付を、手順書の余白にでも書いておくといい。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章留守の家
  2. 第2章潮の匂いが甘くなる
  3. 第3章十三本目の杭
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