祭りの夜は、名前を呼ぶな

作: 杏仁豆腐

#ホラー#夜#日常#田舎#謎解き

呼ばれても、返事をしてはいけない。その声を知っていても。

舞台:山あいの村×十年に一度の夜の因習ホラー

🏮 三つの禁忌

祖母の葬儀で、あなたは十四年ぶりに山あいの杙瀬村へ帰ってきた。葬式はなぜか三日で済まされ、村は十年に一度の灯落としの祭りの支度に入っている。祭りといっても太鼓も屋台もない。日が落ちると村じゅうの灯りが消え、誰もが雨戸を閉てて朝を待つだけの夜だ。幼馴染だった神社の跡取り・祝みちるが、よそ者のあなたに三つの禁忌を教える。「生きている人の名を口にしない。名を呼ばれても返事をしない。灯りを消し、外を行く行列を見ない」。どの禁忌にも理由はない。残っているのは破った者の話だけだ。村の北の外れには表札のない平屋があり、六のつく日に、食べ物が届けられる。住んでいる老婆を村人は皆知っているのに、誰なのかは誰も言えない。

登場人物

  • 祝みちる(26):椙杜神社の跡取り娘で、あなたの幼馴染。よく笑ってよく走る。だが祭りの話になると声が低く整い、別人の顔になる。今度の夜、生まれて初めて「名送り」の役を負う。
  • 軸丸与曾平(84):六十年前の祭りで禁忌を破った老人。以来、誰の名も呼ばない。電話も呼び鈴も持たない。鳴って人を呼ぶ機械を家に置かないのだ。毎晩、白紙の手帳を開いては閉じる。

遊び方

祭りまでは三日。あなたは祖母の家を片づけながら、この村の決まりを一つずつ知っていく。仏間の箪笥にはあなた宛ての封筒が残されていて、中身は祖母の字で書かれた三つの禁忌だった。祖母はあなたが帰ってくることを知っていたらしい。昼の村は静かで親切だ。みちると沢胡桃の餅を食べ、与曾平の畑を手伝い、聞ける話を聞いておくといい。夜が来れば、それが命綱になる。そして祭りの晩、灯りの消えた家の中で、あなたは戸の外に立つ気配と向き合うことになる。軒を擦る音、青白い提灯の色、そして懐かしい声。禁忌は三つだけ。守り切れるかどうかは、あなたの返事ひとつにかかっている。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章第一章 三日で終わった葬式
  2. 第2章第二章 名のない家
  3. 第3章第三章 灯落としの夜
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