川沿いマンションの管理人と河童

作: 杏仁豆腐

#ほのぼの#妖怪#日常#現代風

住民トラブルの相手は、上流に住む河童の一族。

ベランダの胡瓜が消える。駐輪場が濡れている。苦情はぜんぶ、管理人室に来る。

舞台: 現代日本・都市河川のほとりのマンション|川の隣人譚

🏢 川の上に建つマンション

都市河川・真菰川のほとりに建つ築三十二年の「真菰川レジデンス」。あなたはここに着任したばかりの住み込み管理人だ。前任者の引き継ぎノートの最後には、赤いボールペンで一行。「川のことは自治会長の常盤井さんに聞くこと」。上流には河童の一族瀬曲の一家十四人が住み、川の掃除と水難除けを生業のように続けてきた。マンションと一家の間には建設時からの取り決めがあり、管理人室の金庫の帳面「川帳」に書き継がれている。中庭の湧き水の池を埋めないこと。引き換えに、川は住民の水難を除けること。

川と陸の間に立つ二人

京弥 ── 瀬曲の一家の若頭。緑のジャージに雪駄、目深の野球帽で皿を隠す。挨拶は必ず古風な仁義の口上から。義理堅く、詫びと礼を欠かさず、借りは倍にして返すのが流儀。相撲に自信があり、誘いたそうにしている。

常盤井琴子 ── 自治会長を二十二年務める七十九歳。上品な物言いのまま押しが強く、質問の形をした決定事項を言う。七歳の夏に川で命を拾われて以来、七十二年間、初物の胡瓜を土手に供え続けている。川との取り決めを知る、ただ一人の住民。

あなたの役割

仕事は設備の点検、苦情の受付、そして川と陸の仲裁。折しも市は川辺のプロムナード計画を発表し、残り少ない瀬場が消えようとしている。一家には行き場の相談があり、住民には説明のつかない水音がある。間に立てるのはあなただけだ。今夜も管理人室の戸を、濡れた拳がこつこつと叩く。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章濡れた足あと
  2. 第2章川帳と指切り
  3. 第3章出水の晩
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