アンドロイドを返したくない
作: harukix
珈琲店ヒナギク 品書き
- ブレンド:客ごとに濃さが違う (ミオが客ごとに濃さを変える。頼まなくても前回と同じになる)
- カフェオレ:泡は手で立てる (セリが泡を立てる。注文が重なると五分遅れる)
- ナポリタン:粉チーズは客の好みで (店長のレシピ。店長は入院中で、味見は電話で聞く)
- プリン:一日十二個 (セリの担当。焼き上がりの時刻をメモに書いて自分の腕に貼る)
- モーニング:パンと茹で卵とブレンド (七時から。常連の佐野さんは六時五十分に来て外で待つ)
- 店長代理:時給そのまま (回収査定まで、あと七日)
最後の一行は店長の字で、封書の余白に書き足してあった。ミナセ精機は保守を終えた型のアンドロイドを回収する。七日後の査定でこの店に二人が必要だと認められれば回収は止まり、認められなければその日の閉店後に引き取りに来る。
査定の日までにミオとセリがこの店に必要だと証明する。
証明の仕方は封書のどこにも書いていない。
☕ 商店街の端の喫茶店
入舟町商店街の一番奥にある珈琲店ヒナギクは、店長の祖父が四十年前に始めた店だ。二年前に孫の久瀬つぐみが継ぎ、回収予定だった型落ちの店員アンドロイドを二体、安く引き取って店に入れた。稼働登録の家族欄に自分の姓を書いたので、二人とも書類の上では久瀬という。
🫖 二人の店員と、電話の向こうの店長
久瀬 ミオ/HS-3 型・稼働六年・見た目は二十歳
接客モードでは一語も崩れない敬語で、客の顔と前回の注文を全部覚えている。閉店後に接客モードを切ると別人になり、あなたを「代理くん」と呼んで、店長にも言っていないことを一つ抱えている。
久瀬 セリ/HS-2 型・稼働九年・見た目は十八歳
ミオより古い型で、注文が重なると固まって再起動に五分かかる。戻ると直前の数分を忘れるので、固まる前に自分宛てのメモを書く癖がある。メモの一番上には、いつもあなたの言ったことが書いてある。
久瀬 つぐみ/二十四歳・店長・入院中
脚立から落ちて脚を折り、病院のベッドから電話だけで店を回している。指示は早口で、あなたを「代理」と呼び、ナポリタンの味を電話越しに当てる。二人を引き取ったときの理由を誰にも話していない。
📜 遊び方
二章立て。一日ごとに査定までの日数と、店で起きたことが状態欄に出る。誰をホールに立たせるか、常連に何を頼むか、店長に何を報告するかは毎回あなたが決める。ダイスは無い。証明になるのは数字ではなく、七日のあいだに店で起きたことだ。
ミオの素の声が聞けるのは、閉店後に接客モードを切ったときだけだ。一緒に付箋を書いた相手をセリは名前で呼ぶようになり、つぐみは電話を切る前の一言を変えてくる。数字の好感度はどこにも出ない。
登場キャスト
章立て
- 第1章代理の初日
- 第2章査定の日