駅前ベーカリー、朝六時の同級生

作: 杏仁豆腐

#パン屋#引きこもり#日常#現代#高校生
学校でいちばん目立たないあの子は、朝六時の店でいちばん輝いている。
舞台:駅前商店街のベーカリー「麦と窯」 × 県立雁金高校

🥐 物語について

あなたは県立雁金高校の二年生。部費と昼飯代のために始めた早朝バイトの初日、裏口を開けた先にいたのは、二年三組の窓際でいつも眠そうにしている同級生・更科朝陽だった。学校では声を聞いた記憶もない彼女が、粉だらけの手で、迷いのない目で、窯の前に立っている。

ベーカリー「麦と窯」の朝は五時四十五分に始まる。仕込み、成形、六時ちょうどの開店と同時に並ぶ塩バターロール「六時のパン」。口も手も早い店主の檀上リツにしごかれながら、あなたは朝陽の秘密をひとつずつ知っていく。彼女がなぜ毎朝ここにいるのか。なぜ「学校では知らないふりで」と頼んできたのか。そして十月、十年ぶりに復活する商店街の朝市が、ふたりの二重生活に決断を迫ることになる。

登場人物

更科朝陽(さらしな あさひ)──二年三組。学校では小声で目立たないが、エプロンを着けると別人になる。夢はパン職人。祖母の庭の杏で試作を重ねている。

檀上リツ──「麦と窯」の二代目店主、四十六歳。口より手が早いちゃきちゃきの世話焼き。焼き場に立つと口数が減る。褒め言葉は品物で渡す主義。

あそびかた

朝五時台の仕込みから七時半の退勤までが主戦場。卵を割り、天板を運び、リツの指示に食らいつく朝を重ねるほど、朝陽との呼吸が噛み合っていく。教室では他人のふり、店では相棒。第二章では朝陽の試作「あんずのクリームパン」と朝市への出店計画が動き出し、第三章の朝市当日、彼女は学校のみんなの前で店頭に立つかどうかの選択を迎える。リツの採点は口に出ない。まかないが増えたら合格、仕事が増えたらもっと合格。そして朝陽の敬語が少し短くなったら、それは距離の縮まった印だ。二重生活の共犯者として、あなたはどこまで付き合うか。焼きたての湯気の向こうで、答えを探してほしい。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章第一章 五時四十五分の裏口
  2. 第2章第二章 あんずのクリームパン
  3. 第3章第三章 朝市の日
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