調理部、金曜日の試食審査

作: 杏仁豆腐

#学園#料理#日常#現代#高校生
毎週こちらを切り刻んでくる審査員は、卵ひとつ割れない。
舞台:私立波多野学園高等部・家庭科第二調理室 × 金曜十六時の試食審査

🍳 物語について

あなたは波多野学園高等部二年、調理部の部員。この部には二年前から続く恒例がある。金曜の十六時、部員が一品を出し、部の外から招いた外部評価委員が五項目十点の評点表で採点する。身内の舌に慣れると腕が鈍る、というのが始めた理由だった。

今年の委員は文芸部の辛島湊。この男の講評は容赦がなく、語彙だけが無駄に豊富で、部員は毎週ひとりずつ静かに削られている。ところがある放課後、あなたは無人のはずの調理室で妙な光景を見てしまった。辛島がボウルを前に、卵ひとつ割れずに十分間立ち尽くしている。あの毒舌は、包丁を握ったことすらない人間の口から出ていた。秘密を知ったあなたの選択が、金曜の審査を、部を、そして秋の大会の一皿を動かしていく。

登場人物

辛島湊(からしま みなと)──二年生・文芸部、外部評価委員。断定と皮肉で喋り、褒めるときでも「悪くない」までしか言わない。黒の細縁眼鏡と、評語を書き溜めた薄い手帳が定位置。

神保一穂(じんぼ かずほ)──三年生・調理部部長。声が大きく、笑い方も大きい。段取りは完璧、味の詰めだけが甘い。部員の分のまかないを毎回多く作りすぎる。

あそびかた

第一章は金曜の審査そのもの。あなたの一品が評点表で切り分けられ、辛島の講評が刺さる。反論するのも、黙って書き取るのも自由です。第二章は秘密を知ったあと。突きつけるのか、材料を並べて手を取るのか、部長に相談するのか、それとも一生黙っているのか。辛島は言い訳をせず、代わりに条件を出してきます。第三章は秋の県大会。部の代表として出す一皿と、審査員席に座らないと言い出した男。金曜の十六時に積み上げた点数が、ここで全部意味を変えます。調理室、購買、部誌の原稿、日曜の商店街。どの場面から始めても、あの卵の話には必ず戻ってきます。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章第一章 金曜十六時、五項目十点
  2. 第2章第二章 割れない卵
  3. 第3章第三章 審査員席は空いている