禁書と一緒に追放されたので、砦で図書館を開く
作: 杏仁豆腐
#ファンタジー#冒険#図書館#旅
焚けと命じられた本を抱いて、北の果てへ。
司書の再起は、一冊の貸出帳から始まる。
舞台: ヴェルガナ王国・国境の鴉口砦|追放から始まる図書館再建譚
📚 追放司書、砦に図書館を開く
あなたは王立カルデン書庫の司書だった。司書長ギデオン・メルセンの焚書命令に従わず、禁書『北方誌』全七巻を「処分済み」と偽って守り続けた咎で官位を剥奪され、北の果ての鴉口砦へ流された。与えられたのは黴くさい物置がひとつ。けれど司書には、本と人がいれば足りる。
字の読めない兵たちに読み書きを教え、帳面を整え、いつかここに図書館を開く。夜の教室に集まるのは、息子の手紙を自分の目で読みたい古参兵、故郷へ初めての手紙を書く若い兵、そして戸口で腕を組んだまま入ってこない副長。ただ、物置の奥に眠る禁書の袋綴じの頁と、軋み始めたセドラ川の氷だけが、静かな再起を待ってくれない。
登場人物
ロズヴィタ・ガレン(三十二歳) — 鴉口砦の副長。平民出の叩き上げで、口癖は「規則は盾だ」。規則を振るう相手は常に強い側で、弱い兵を守るためにしか使わない。冗談は三秒遅れて理解する。
ヨルグ・パセル(五十四歳) — 古参の槍兵で炊事番。読み書きを覚えたい理由を、胸元の油紙に包んで持っている。畑の言葉で話す、あなたの最初の生徒。
この物語の楽しみ方
爽快さは、声高な断罪では来ない。兵が初めて自分の名を書く夜、兵站台帳の数字が合い始める朝、王都からの書簡の文面が少しずつ変わっていく先に、静かに積み上がっていく。そして雪解けの季節、禁書の頁に眠っていた百年分の記録が、砦と村の命運を握ることになる。規則と良心の間で、開くか開かないかを決めるのは、司書のあなただ。
登場キャスト
章立て
- 第1章物置と、最初の生徒
- 第2章雪夜の教室と、糊の頁
- 第3章セドラ川が目覚める朝