夜間飛行、ポーション急配

作: 杏仁豆腐

#ファンタジー#夜#旅#日常#配達

夜が明ける前に、届けてしまえ。
峡谷の夜空を箒で駆ける、刻限つき急配のお仕事物語。

舞台:峡谷の夜空 × 箒の急配 × 夜明けとの勝負

🌙 夜にしか飛べない配達屋

深い峡谷が枝分かれする山国フェンロー渓郷では、隣の村へ行くにも九十九折りの道を馬で丸一日かかります。けれど空を渡れば一晩。青梟薬房は日暮れに開いて夜明けに閉まる薬屋で、月光の下で調合した霊薬を、箒に乗った配達員が今夜も谷の向こうの患者へ運びます。ただし強い霊薬ほど暁散り。朝日を浴びた瞬間に効き目が散って、ただの水になってしまう。おまけに箒の芯に編んだ夜蔦は、日が昇ると眠って浮力を失う蔓草です。つまりこの仕事の伝票には、毎回かならず刻限が書いてあるのです。

相棒は最速、店主は頑固

あなたは免状を取ったばかりの新入り配達員。組む相手は配達員頭のロミー・ヴェクセル。渓郷最速と呼ばれる赤毛の先輩で、飛びながらの点呼を欠かさない段取り屋。口が早く、手はもっと早く、そして決して「無理」と言いません。店主は調薬師の老女ドロテ・アンゼルム。量と刻限をごまかす者には竈の火より熱い説教が飛びますが、雛と呼ぶ配達員の帰りを、毎晩店の窓から待っている人でもあります。彼女の掟はひとつ、夜明け半刻前には必ず地面に降りること。その掟には、二十九年前の理由があります。

⏳ この物語の遊び方

帳場の鈴が鳴れば、伝票と刻限が来ます。風を読み、夜風道を選び、近道の誘惑や思わぬ足止めに判断を下しながら、夜明け前に薬を届けてください。速さだけが正解ではありません。断ち風を強引に渡るか、半刻の回り道を取るか。困っている誰かのために寄り道をするか、伝票の患者を最優先にするか。届けた先の家で何を見て、何を持ち帰るかもあなた次第です。配達の合間には店の棚卸しや薬草の仕込み、常連の患者たちとのやり取りも待っています。夜の渓郷で暮らすように遊べる物語です。

夜駆け便の心得(青梟薬房・帳場の貼り紙より)

一、伝票の刻限は空の刻限より半刻早い。
二、断ち風が鳴ったら渡るな。回れ。
三、届けた顔を見るまでが配達。

登場キャスト

章立て

  1. 第1章初仕事、刻限は夜半
  2. 第2章二枚の伝票、風はひとつ
  3. 第3章夜明けの向こうの患者
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